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GWP値の落とし穴と企業戦略──ISSB修正案が突きつける「比較可能性のジレンマ」

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2025年4月28日、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が発表したIFRS S2号の公開草案には、単なる開示ルールの調整にとどまらない、深い含意が込められていましたね。

  • ISSB publishes Exposure Draft proposing targeted amendments to IFRS S2 to ease application for companies

https://www.ifrs.org/news-and-events/news/2025/04/issb-publishes-exposure-draft-targeted-amendments-s2/

今回示されたのは、温室効果ガス(GHG)排出量に関する開示要件のうち、特に実務上の負担が大きいとされる4つの領域について、柔軟な運用を認めるという修正提案です。見かけは親切な救済措置のようですが、その実、企業経営の土台を揺さぶる「比較可能性の分断」を内包しているのですよ。

とりわけ、日本企業にとっては、このISSBの方針が、国内法である温対法とのズレを顕在化させる引き金となる可能性があるのです。報告のための数字が、経営の判断を誤らせる──そんな本末転倒が現実になるかもしれませんよ。

 

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