会計が世界一シンプルにつかめる本

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会計」なんて経理部だけに必要なスキルと思っていました。
でも、決算書が読み解けるようになると・・・

 入社当時は、教えられたことを着実に実行していくことがあなたの仕事でした。ところが最近は、昇進したり、部下が出来たり、または大きなプロジェクトのメンバーになったり、入社時とは違う新しいステージに立っているのではないでしょうか。あるいは、そのようなチャンスがもうじき訪れる頃かと思います。

 あなたは、そうした時期に、こんなことを思ってはいませんか?

「あいつ、何でそんなことが分かるんだろう。」
「あの先輩の言うことは、いつも深いなあ。どうしたら、そうなれるんだろう。」
「どうして、そんなに知っているんだろう。」
「そんな所まで考えているなんて。自分はやっぱり浅いよな。」
「同期には負けたくないけど、うまく成果に結びついていないよ。」

 あなたは、成長したいと思うほど、現実とのギャップに落ち込んだり、ヘコんだりしています。でも、ここで自分がダメだと思う必要は何もありません。あなたは、ただ、その方法を知らなかっただけなのですから。

 では、優秀なビジネス・パーソンになるためにはどうすれば良いか?

 優秀なビジネス・パーソンを注意深く見ていると、そこにある共通点があることがわかります。その共通点とは、「会計に明るい」ということです。

 私は、会計士業界に入って(執筆当時)17年目になります。その間、上場企業から非上場会社まで各種の規模や業種の民間企業からパブリック・セクターまで、数多くの経営者や業務責任者、担当者と出会ってきました。その中で「この人は凄いなあ」と感じさせる人は、なぜか皆、会計に明るい人ばかりなのです。

 それでは、「会計に明るい」とは、一体どういうことなのでしょうか? 

 それは、「ビジネスでマネーがどのように回っているのかが決算書から読むことができる」ことです。彼らは、ただ単に決算書の数字だけを見るのではなく、その裏側で、マネーがどのように回っているのかについても理解しているのです。決算書からビジネスの実態をとらえている点が重要です。このことは、次のことを意味しています。

 あなたが会計のモノの見方を身につけて、ビジネスで回るマネーを決算書から読み解けるようになれば、優秀なビジネス・パーソンに一歩近づく。

 ここで、「会計って、簿記とか何とか言うヤツでしょ。なんだか難しそうじゃない?」と思われるかもしれません。

 確かに、多くの会計の本は、冒頭から簿記の話に突入し、「借方」「貸方」とか「仕訳」とか説明しだします。しかし、これでは「会計」の半分の側面しか説明していません。それは、決算書を「作る」ことです。作ることは、経理の専門の方にお任せしておきましょう。

 あなたがすべきなのは、あとの残り半分です。それは、決算書を「読む」ことです。経理の専門ではないあなたに必要なのは、この「読む」というスキルなのです。

 そこで書籍『会計が世界一シンプルにつかめる本』では、決算書が読めるようになるために、数多くの項目の中から「これだけは!」と厳選した項目に絞りこんでいます。

 また、できるだけ専門用語を使わずにやさしく解説しています。「やさしい」といっても、会計の本質に迫るような「深さ」も持ち合わせています。本文ではデートに例えた説明もしていますが、経理の専門の方が読んでも納得できるはずです。

 さらに、図も多用していることも特徴的です。視覚的にもイメージしやすくしています。書籍『会計が世界一シンプルにつかめる本』をパラパラめくっていただくと、「確かに、絵が多い!」とお気づきになるでしょう。

 書籍『会計が世界一シンプルにつかめる本』の構成は、次のとおりです。

 第1章では、会計の話に入る前に、まずマネーがどのように社会で回っているのかについて説明します。

第1章 カイケイってなに?
未来はどこにある? ~会計で未来を読む~
 ・2つの扉があるとすると
 ・未来は過去の延長か?
 ・会計は変化している!
カイケイって何? ~回るマネーを説明する~
 ・子どもだって「会計」してます
いくつかの会計を整理する ~企業会計、財務会計~
 ・目的で2つに分ける
 ・誰向けかで2つに分ける
 ・「ガッチリ儲ける」派で「外の関係者」向け
経営者は株主に説明する ~株式会社~
 ・株式会社はすてきな出会い
 ・現実は一人芝居
マネーを増やしたい! ~資本主義での自由~
 ・自由になるために
 ・株主がマネーを預ける理由
 ・だから経営者にマネーは集まる
マネーは増えたか? ~決算書~
 ・結果と原因が知りたい
 ・決算書から未来が見える
 ・経営者の3つの活動

 第2章では、経営者がビジネスでマネーを回していく3つの活動について解説します。

第2章 経営者の活動はこの3つ
モノを売って、マネーを回す ~営業活動~
 ・売って回す
 ・「仕入」とはモノを買うこと
 ・モノの受取りとマネーの支払いが同時でない
 ・「売上」とはモノを売ること
 ・売上でマネーは大きくなる
儲けとは何か ~売上高と利益~
 ・売上は儲けではない?!
 ・儲けの泉
 ・儲けを残すために経営者は考える
 ・株主の心配
設備を使って、マネーを回す ~投資活動~
 ・投資活動といえば設備投資
 ・使って回す
 ・設備にいくらマネーをつぎこむか?
 ・忘れてはいけない経費
回すマネーを用意する ~財務活動~
 ・マネーが足りなければ借金
 ・もしもマネーが止まったら・・・
 ・倒産の危険信号
 ・マネーの観点でこのように整理する

 第3章では、経営者の活動のうち営業活を取り上げ、そこでマネーがどのようにぐるぐると回るのかを図解して説明します。ここでは「ぐるぐるチャート」なるものを使い、ぐるぐる感をよりイメージしやすいようにしています。

第3章 右脳も使う「ぐるぐるチャート」
回るマネーはこうして絵に描く ~ぐるぐるチャート~
 ・新登場、「ぐるぐるチャート」
 ・この縦軸がマネーの大きさになる
 ・この横軸が時間の流れになる
 ・この真中はぐるぐる感
ぐるぐるの2つの観点 ~効果、効率~
 ・効果的なマネーの回り方とは?
 ・まったく効果的ではないマネーの回り方
 ・効率的なマネーの回り方とは?
 ・信用取引も考慮するなら
値引きして売ると、もっと働くことになる ~値引き販売と経費削減~
 ・値引きして1円にしても買わない理由
 ・効果的でないマネーの回り方
 ・ゴールのラインを引き上げる対応
 ・スタートのラインは引き下げる方法
 ・なぜ経費を削減するのか?
売れないと、もっともっと働くことになる ~なかなか引渡しできない~
 ・マネーが寝ているとは?
 ・売れないと、もっと売れなくなるカラクリ
入金がないと、もっともっともっと働くことになる ~なかなか入金されない~
 ・信用している期間が延びるとは?
 ・現金取引とはここが違う
 ・儲けがないどころではない

 第4章では、いよいよ会計の説明に入っていきます。そこでは、会計のモノの見方と決算書について解説していきます。続く第5章から第7章では、営業活動、投資活動、財務活動のそれぞれにおいてマネーがどのように回っているのかについて説明していきます。

第4章 これが会計のモノの見方
会計ワールドの扉を開けたなら ~会計のモノの見方~
 ・いよいよ会計ワールドへ
 ・これが会計のモノの見方だ!
これが会計のモノの見方 ~会計期間、「発生~
 ・その都度、説明が欲しい
 ・会計では時間をこう区切る
 ・あなたがビジネスを始めたら
 ・お小遣い帳ワールドでは誰がトク?
 ・会計ワールドでは誰がトク?
「発生」で読み取る方法 ~黒字倒産、クレジットカード~
 ・儲かっているのに「マネーがない!」
 ・クレジット・カードはどうやって記録する?
ぐるぐるマネーを説明するための書類 ~貸借対照表と損益計算書~
 ・法が求める決算書とは
 ・「楽しい」感情は「またデートしたい」意思になる
BSでバランスする3つの項目 ~資産、負債、純資産~
 ・バランスしている2つの項目
 ・マネーはこうして会社で回る
 ・左、「資産」をご覧ください
 ・右上、「負債」をご覧ください
 ・右下、「純資産」をご覧ください
 ・純資産をさらに見ていくと
PLには利益がいっぱい ~売上総利益、営業利益、当期純利益~
 ・PLは左右ではなく上下の構造
 ・経営者の活動の集大成はPLのどこにある?
 ・財務活動の項目は「支払利息」だけ
 ・投資活動の項目は「減価償却費」
 ・モノに付け加えた価値もPLにはある

第5章 売りモノで回るマネー
営業活動のぐるぐるマネー ~売上高・売掛金・商品・売上原価・売上総利益~
 ・営業活動のポイント
 ・ぐるぐるチャートを逆から読む
 ・決算書で押さえる5つ項目
売上高 ~ブレークダウンして将来を占う~
 ・STEP1:右側の縦軸
 ・売上高がアップダウンした理由は?
 ・喜ばれたのはどのコースか?
 ・喜ばれたのは値段か、数か?
 ・将来も続いていくか?
売掛金 ~入金されるかどうかがポイント~
 ・STEP2:「信用からマネーへ」のエリア
 ・売掛金が膨らんだら?
 ・売掛金がしぼんだら?
商品 ~今後も売れるかどうかがポイント~
 ・STEP3:「モノから信用へ」のエリア
 ・買った分ではなく、売れ残った分
 ・商品が膨らんだら
 ・商品がしぼんだら
売上原価 ~売れた分だけ記載される~
 ・売上原価とぐるぐるチャート
 ・売上原価がアップダウンした理由は?
売上総利益 ~なぜお客様から価値を認められたか?~
 ・売上総利益とぐるぐるチャート
 ・経営者は価値を上手に生み出しているか?
 ・粗利がアップダウンした理由は?

第6章 投資で回るマネー
投資活動のぐるぐるマネー ~有形固定資産、減価償却費~
 ・投資活動のポイント
 ・決算書ではここを見る!
設備の特徴 ~長く使ってマネーを回収する~
 ・ぐるぐるチャートが描きづらい
 ・使ってマネーを回収する
 ・マネーを回収する期間がとても長い
これがなくては会計とはいえない! ~減価償却費~
 ・「発生」の申し子
 ・「発生」で解決する
 ・まずは資産にしましょう
 ・どのようにして資産から費用に変えるか?
 ・費用を配分する方法
その設備投資は失敗していないか? ~減損~
 ・その買い物、後悔していませんか?
 ・会計ワールドでの失敗の記載の仕方
 ・営業利益で減損を見抜く方法

第7章 財務で回るマネー
財務活動のぐるぐるマネーを見る3つの項目 ~借入金、支払利息、資本金~
 ・財務活動のポイント
 ・銀行とのマネーは決算書のココを見る!
 ・株主とのマネーは決算書のココを見る!
銀行とのマネー ~借入金、支払利息~
 ・借金には「利息」が付いてくる
 ・絶対に返済しないといけない
 ・利息は“ぜいにく”?
株主とのマネー ~資本金、利益剰余金~
 ・経営者からはマネーを返してもらえない
 ・儲けの分配がゼロ?
 ・儲けは再びビジネスに使われることも
設備を買うときのマネー ~有形固定資産、純資産、長期借入金~
 ・財務活動のきれいな流れとは?
 ・設備と借金の良い関係
 ・設備で返済が心配か?
 ・純資産でもカバーされないときには?

 第8章では、経営者が行うビジネスがどのようなタイプなのかを知るために、ぐるぐるチャートに関連づけたマトリクスを解説しています。決算書に映し出されるビジネスの姿が、この4つのタイプに影響を受けることが理解できます。

第8章 ビジネス・タイプのマトリクス
ビジネスの4タイプ ~ビジネス・タイプのマトリクス~
 ・ぐるぐるチャートの1年間バージョン
 ・ビジネス・タイプのマトリクス
安さが勝負の「安いでっせ」タイプ ~コスト・リーダーシップ戦略~
 ・「安いでっせ」タイプ
 ・安さが勝負のモノ
 ・沢山売らないとね
 ・警告!戦い続けなければいけません
とても魅力的な「他とは違うわ」タイプ ~差別化戦略~
 ・「他とは違うわ」タイプ
 ・とても魅力的なモノ
 ・沢山売らなくても良い
敗れ果てた「溺れちまった」タイプ ~レッド・オーシャン~
 ・「溺れちまった」タイプ
 ・「安いでっせ」タイプからの転落
 ・「他とは違うわ」タイプからの転落
 ・低い“ぐるぐる”
かなりオイシイ「トレンド乗り乗り」タイプ ~ライフサイクル、成長期~
 ・「トレンド乗り乗り」タイプ
 ・オイシイ状況は長くは続かない
 ・“高い”ぐるぐる

 最後の第9章では、会計のルールが世界で一つに向かっている現状について説明します。

第9章 世界で1つだけの会計
世界に一つだけの会計 ~IFRS、国際会計基準~
 ・どちらの決算書を信用する?
 ・儲けが減ってしまう?
波乱万丈のIFRSの生い立ち ~不遇期、飛躍期、制覇期~
 ・デビュー後の不遇期
 ・大どんでん返しの飛躍期
 ・リーチの制覇期
 ・生い立ちから分かること
IFRSはどんなもの? ~包括利益~
 ・この会社の価値はいくら?
 ・BSが重視される
 ・日本にはなかった利益がある
 ・新しくプラスされたものとは?
IFRSでも大丈夫! ~原則主義、将来予測~
 ・自ら考える
 ・パラダイム・シフト
 ・自ら語る
 ・ぐるぐるマネーは変わらない

 書籍『会計が世界一シンプルにつかめる本』の内容を一つでも実践することで、同期の誰よりも早く、あなただけが優秀なビジネス・パーソンに近づくでしょう。

 こんなことを言うと、「書店に並んでいるのに、『自分だけ』ってことはないでしょ!」とツッコミが入るかもしれません。でも、意外とそうではないんですよ。教わったノウハウやスキルを実際に使っていく人の割合をご存じですか? それは5%程度と言われています。

 仮に、同期が20人いたとしましょう。その全員が書籍『会計が世界一シンプルにつかめる本』を買ったとしても、実践していくのはそのうちの5%、つまり「1人」という計算になります。あなたが実行に移していけば、その「1人」に入るのです。ホラ、あなた「だけ」になったでしょ。

 さあ、今すぐページをめくり、会計ワールドの扉を開けましょう! 昨日までの「あなた」から飛び出し、理想の「あなた」に向かうのです。それでは本文へ!!

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