Accounting

本を書くなら、これを読むべし

2018年12月30日、まさに年末の直前の日に、浜松の本屋さんに立ち寄りました。それは、駅ビル「メイワン」の最上階の8階に入っている谷島屋浜松本店。普段、通っている本屋さんとは本の並べ方が違うため、新鮮。いつもは寄らないコーナーも含めて。ぐるりと回っていました。

 そこで、強烈に目に入ってきたのが、『プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』(CCCメディアハウス)という本。2017年8月に発売されてから、10刷りされています。つまり、売れている本ということ。

 

 その表紙は、このブログ記事の写真にアップしているように、漫画チック。帯には「ジム通いはムダ、プロテインは不要!」と書いてあります。そんなことを言われたら、もう興味師深々。

 というのも、ボクがフィットネスクラブでトレーニングをしているときに、いつも疑問に思っていたのが、昔の人はどうやって体を保っていたのか。今のようなトレーニング器具はありません。それにもかかわらず、オリンピックに出るような体を作っている人たちがいたのです。不思議じゃありませんか。

 で、中身をチラ見したところ、世界の監獄で伝承されてきたトレーニングを解説した本とのこと。著者のポール・ウェイドさんが元囚人と紹介されているため、信憑性が増し、また、興味もさらに増します。

 ジムのトレーニング器具が本来の人間の体の動かし方とは合っていないと指摘。一方で、監獄の中では、他の囚人に襲われることがあるため、トレーニング器具がない中で体を鍛えなければならない。そうして伝承されてきた内容を書籍化したといいます。

 その日は、すでに持ち歩いていた未読の本が2冊あったため、購入には至らず。しかし、その本が気になって気になってしょーがない。で、翌日の12月31日の午前中には、同じ本屋に向かって、この本を買っていました。

 この本、最高に面白い。コンテンツとして純粋に楽しめるだけではなく、著者として本を出す予定がある人にとっては、読者にのめり込んで読んでもらうためのテキストとして秀逸なんです。

 いわゆるトレーニング本といえば、導入部分はさらっと終わり、後は実際のトレーニングの仕方を解説したものが多い。それに対して、この本の構成は違います。

 まず、この本は、器具を不要とする自重筋トレの「キャリステニクス」を推奨したもの。とはいえ、それが何か、どんな効果があるものなのかは誰も知りません。そこで、PART1の「準備」では、なぜキャリステニクスが必要なのか、それがどれほど重要なのかの解説に全体の6分の1の紙面を割いています。

 これが、人間の学習タイプを踏ませると、とても重要。何かを提唱するときには、”Why”をしっかりと説明する必要があります。そこが理解されないと、後の説明を聞いてもらえないからです。特に新しい概念やサービスを説明する、従来とは違う考え方を解説するときには、この部分を最初に取り扱わないといけないのです。

 ボクの著書も、第1章や第2章は”Why”の説明。意図的にこうした構成としています。その順番が分かっていなかった頃、ビジネス書の第1章や第2章が邪魔のように感じていました。とっとと早く内容を説明してくれと、イライラしていたものです。

 今、思えば、”Why”の説明だったと理解できます。ボクの場合、その本で提唱する内容の必要性をすでに理解していたので、その部分の紙面がもどかしく感じていたのでした。でも、そんな読者ばかりじゃない。やはり丁寧に”Why”を説明する必要があるのです。

 この『プリズナートレーニング』のPART1を読んでいるだけで、どんなものかをまったく理解していない「キャリステニクス」を実践したくてウズウズしてきます。これを60ページ程度解説したうえで、具体的な説明にようやく入っていきます。人間の心理を計算している構成。

 また、PART1はもちろんのこと、PART2で各種のトレーニングをそれぞれ解説するときに、必ず最初に、その必要性や重要性を説明しています。この構成もそうですが、そこでどんな表現をしているかは、トレーニング以外の分野の執筆でも大いに役立ちます。

 この本を使って、人の心を掴んで話さない本の書き方を研究する場を作っても良いほど。とにかくオススメ。特に士業の方。騙されたと思って買って、ぜひ、分析してみてください。

 そんなことを昨夜、考えていたら、この本のような書き方ができる著者さんが増えることが、社会にとっても、また、ボクにとっても有益。ならば、同じように執筆しているボクの方法をお伝えするのも一法かと考えました。例えば、「もし君が会計の本を執筆することになったら」シリーズ、通称「もし君」としてハッシュタグをつけて、ブログで公開していくとか。

 ニーズがあるなら、やってみようかな。な~んて、ニーズがなくても記事を書いているかも。こういうこと考えているのが、ホント、楽しい。記事を書き出したら、応援してくださいね。

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