ストーリーが大事。ビジネスで、そんなことを良く言われます。ボクはセミナー講師や書籍の著書として、ストーリーの作り方を学び、また、実践しています。ストーリー作りのスキルを高めるためには、書籍で勉強するだけでなく、実際に脚本を作っている人の話を聴くのも有益。
映画やテレビドラマでシナリオを書くことを仕事としている職業が、脚本家。ということは、脚本家で売れている人からストーリー作りの秘訣を教えてもらえるなら、これ以上の学びはない。日本で売れていて、かつ、ボクが好きな作品を書く脚本家のひとりが、北川悦吏子サン。
彼女が手がけた作品で大好きなのが、1996年にフジテレビ系ドラマ『ロングバケーション』。木村拓哉サンと山口智子サンが主演を務めて大ヒットした作品。今でも、ときどきロングバケーションのDVDを見返すことがあります。
最近では、2018年のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』。永野芽郁サンと佐藤健サンが主演で大ヒット。劇中で豊川悦司サンが演じた漫画家の秋風羽織というキャラクターも人気となって、『秋風羽織の教え 人生は半分、青い。』という書籍が発売されたほど。ちなみに、豊川悦司サンは北川悦吏子サンが脚本を書いたTBS系ドラマ『愛していると言ってくれ』で主演を務めた方でもあります。
そんな北川悦吏子サンが、先週の2019年1月18日に、日本テレビ系「アナザースカイ」という番組に出演されました。この番組は、出演者が海外にある第2の故郷を訪れるという内容。御本人のツイートで出演を知って、もちろん、チェック。
北川悦吏子サンは、映画「ロミオとジュリエット」が好きだといいます。シェークスピアが原作のお話し。1996年にはレオナルド・ディカプリオ主演でも映画化されているのですが、彼女は1968年のフランコ・ゼフィレッリ監督による映画のほうが好き。というより、その世界観を大切にしたくて、他の映画は見ないようにしているそうです。
そのフランコ・ゼフィレッリ監督の映画の舞台となったのが、イタリアの北部にある都市、ヴェローナ。その映画のロケで使用された邸宅が今でも残っていることから、そこに訪れるのが今回の目的。
ホラ、中庭を見下ろす小さなバルコニー。そこで、あの「おお、ロミオ。あなたはどうしてロミオなの?」というセリフが交わされた場所。バルコニーの女性が木に登って近づく男性に声をかけるのです。このシーンが北川悦吏子サンの書くシナリオに大きな影響を与えたとのこと。
実際、『ロングバケーション』では、主人公の男性が自宅のマンションの窓から、地上にいるヒロインと会話するシーンがあります。また、『半分、青い。』にも、主人公の男性が住む家の2階の窓に向かって、地上のヒロインが呼びかけるシーンが何度も描かれています。これらは、「ロミオとジュリエット」へのオマージュ。
ただ、「ロミオとジュリエット」と違うのは、男性が上で、女性が下という構図。これは意図的に反対にしたようで。あえて逆さにすることで、自然に北川作品に溶け込んでいるのです。ボクは今回の番組でそれを知って、はじめて気づきました。
ビジネスでは、他の企業が成功していることと同じことをするのが勧められます。例えば、セールスレターだと、見出しやストーリー、語りかける順番など、成約率が高いチラシを徹底的に分析して、自社のセールスレターに反映するのです。
気をつけたいのは、そのままマネしてはダメ。それは単なるパクリ。著作権的に問題が生じます。特に同業からパクってしまうと、顧客層が同じなため、「あの会社のパクリだ」とパクったことが丸わかり。
だから、そっくりそのままマネはしてはいけない。一番良いのは、その本質を再現すること。本質さえ掴めれば、表面的には別のものを創り出すことができます。
そこまでできないなら、本家が何かがわかるように少しだけ変える。元のアイデアを継承したうえで、さらに広げたり深めたりしていくのです。本家に敬意を払っている限り、それはオマージュ。パクリではありません。
執筆でも同じ。参考文献を挙げずに、人のアイデアや工夫を真似るのは、パクリ。あたかも自分で考え出したような見せ方は、著作権的にアウトです。
会計の実務解説書や解説記事の中にも、本家に経緯を払わずに、パクっているものがあります。後発事象や繰延税金資産の回収可能性などは、ボクの書籍以外では使っていない表現や考え方があるのですが、それは問題。著作権的にも。せめて参考文献にボクの本を掲げて、「参考にしていると言ってくれ」。