Business model

心優しきイノベーターがKAM展開を後押しする

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

こんにちは、企業のKAM対応のスペシャリスト、竹村純也です。

KAM(監査上の主要な検討事項)は、イノベーションだ。な~んて話すと、不思議に思うかもしれませんね。無茶なこじつけをするんじゃないかと警戒しているかもしれません。

イノベーションとは、人によって定義はさまざま。ざっくりといえば、今の状況から良い状況へと変化すること。その変化は、革新的な大きなジャンプもあれば、改善程度の小さなホップもあります。いずれにせよ、良い状況を生み出しています。

そんなイノベーションで世界的に有名なコンサルタントとして、ハイス・ファン・ウルフェン(Gijs van Wulfen)氏を挙げることができます。そんな彼の翻訳本を入手したので、まずは、その話から。

 

クラウドファンディングによる翻訳出版

ハイス氏の本が翻訳されたものに、『START INNOVATION ! with this visual toolkit.〔スタート・イノベーション! 〕』(ビー・エヌ・エヌ新社)があります。組織の中でイノベーションを起こす方法論である「FORTHイノベーション・メソッド」を説いたもの。これは、プロジェクトを回していくリーダーは必見の、本気のオススメ本。

 

この本の英語版が2014年に発売された2年後の2016年7月に、『The Innovation Maze: Four Routes to a Successful New Business Case』という本を送り出しています。FORTHイノベーション・メソッドを立ち上げるためのガイドという位置づけです。

これが、2020年12月になって、ついに日本語化されました。それが、今回のブログ記事の写真です。そのタイトルは、『イノベーションの迷路 ーゴールに導く4つのルートと10のステップ』(サウザンブックス社)。この本はクラウドファンディングによって目標金額を達成したことで、翻訳出版されるに至りました。ボクも応援者のひとりのため、こうして手にしています。

 

イノベーションを成功させる4つのルート

この『イノベーションの迷路』では、イノベーションを始める地点は4つだといいます。また、どの地点からスタートするかによって、攻略すべき障害の順序が異なるとも指摘しています。

10の障害を、しかも、どのようなルートでクリアしていくべきかを知らなければ、そのプロジェクトは迷路から抜け出せない。そこで、クリアの仕方が説明されています。

ボクは、いくつかのプロジェクトでFORTHイノベーション・メソッドを活用していました。成功したものもあれば、思うような成果が得られなかったものもあります。その理由が、障害のクリアの仕方、つまりは対処すべき事項の順序だったんですね。

 

KAM対応に当てはめると

この本、KAM対応の業務について当てはめて読んでいました。というのも、KAMが企業の開示やガバナンスを良くしていくための格好のツールとなりえるからです。また、投資家やアナリストにとっては、KAMを注意深く分析することで、その企業のガバナンスの状況が透けて見えることもあります。

このように、財務諸表の作成サイドにとっても、利用者サイドにとっても、有益な活用が期待できます。ボクが出会う人で、ガバナンスに興味のある方にこの話をすると、KAMの本当の威力に驚かれます。また、その方のお知り合いにも展開していただけます。

だから、KAMの活用方法を伝えることがボクの使命だと考えています。これを知ることで、企業の開示はもちろんのこと、ガバナンスにまで良い影響を与えられるなら、かなり意義のある活動といえます。

しかし、その活用方法が知られていないためか、あまり話題になっていないのも事実。まだまだ周知していく必要があります。独立開業した理由のひとつには、監査法人に所属していてはKAM関連の活動に支障が生じると考えていたこともありました。その制約がなくなった今、もっと、動きを強めていかなければなりません。

 

心優しきイノベーター

そう考えていたときに、この本の128ページの記述に目が止まりました。「アイデアと心中する覚悟」という見出しの中で、情熱を傾けられるかどうかが問われています。アイデアを動かしていく張本人がその気でなければ、誰の心も動かせないから。ここで、次のように語りかけます。

 

今の仕事を捨ててアイデアの具現化に賭ける気はあるだろうか。あるなら合格だ。スタートアップで失敗する創業者は、たいてい今の仕事を辞められず、逆に辞めた創業者はほとんどが成功している。

 

この記述には、泣かされそうになりました。あのハイスに「成功だ」と背中を押されたのです。こんなに心強いことはありません。

ハイス氏は、ひとり突進していくイノベーションではなく、周りから協力がもらえるイノベーションを勧めています。本人も苦い経験をしたことがあったため、他人を包み込むように接するのでしょう。心優しきイノベーターなのです。

 

今、KAMの展開の仕方について、あるアイデアがあります。そう、KAMを題材としたイノベーションを起こそうと考えています。ここに、冒頭でお話ししたように、KAMとイノベーションが関連してきます。

何人かには内容を説明し、また、フィードバックも受けています。このアイデアを実現していくために、イノベーションのルートに従って、チェックリストをひとつひとつ潰し込んでいかないと、ですね。

 

 

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