どんな言葉に囲まれて生活していますか。しかも、その環境があなたのマインドに影響を与えた結果、行動も変わってくると聞いたなら。
環境とは、一定の時間を過ごしている場のこと。家庭であったり、職場であったり、あるいは、SNS上のコミュニティであったりと。直接的か間接的か問わずに、とにかく人と交わっている空間です。
あなた以外の人が話す言葉は、大きく2つに分けることができます。ひとつはポジティブな言葉、もうひとつはネガティブな言葉。そのどちらが多く発せられている環境に長くいるかによって、気分が変わってきます。
確かに、愚痴や不平不満しか聞こえてこない環境では、前向きな姿勢になることやそれを保つことは難しい。「あいつは、あーだ」「この仕事は、こーだ」なんてネガティブな言葉ばかり浴びせられると、それに染まってしまいます。
一方で、「こういうことに取り組むと楽しそう」「あんなことを始めてみよう」というポジティブな言葉に囲まれていると、やる気に満ちてきます。一緒に仕事をしている人がこういう言葉が多いと、成長したり成し遂げたりすることが加速していきます。
このように言葉の力って、思っている以上に大きなもの。
そんな性質を利用したエクササイズに、「グッド・アンド・ニュー」(Good and New)というものがあります。これは、24時間以内に起きた良いことをグループ内でシェアしていく、もの。翻訳そのまま、良いことと悪いことですね。加速学習の世界的権威であるピーター・クライン氏が、『こうすれば組織は変えられる!』(フォレスト出版)で紹介しています。
もともとはアメリカの教育現場で、心が荒んでいた子どもに対して適用していたエクササイズ。たとえ小さくても、その場にいる人がみんなに良いことが起きていることをシェアすることで、この世は悪いところではないというマインドにシフトしていくのを促すのです。
これがビジネスの場でも使われて始めたことから、ワークショップ型のセミナーでもアイスブレイク的に取り入れられています。ボクのワークショップでも、グッド・アンド・ニューは欠かせません。今月は2つの場でこれを使ったところ、「へえ~」「それはすごい」というような良い出来事が身近な人に起こっています。そんな話を聞くと、心が晴れ晴れ、穏やかになっていきます。
定期的に使う場があるときには、その参加者を定点観測できるのも面白い。必ずグッド・アンド・ニューをしているミーティングでのこと。初めの2,3回くらいは「何も良いことが起きていない」という前置きから話し始める参加者がいました。
ところがミーティングの回を重ねていくにつれて、「今回はちょっと良いことがありまして」と、話す内容が変わってきたのです。他の参加者も、その出だしを聞いた瞬間に、「おお~」と声を挙げたほど。その人の変化を目の当たりにしたのです。周りの良いニュースの話を聞かされているうちに、感化されていったのかもしれません。
もっとも、またグッド・アンド・ニューで話させられるというプレッシャーの中で、良いことを無理やり探した可能性もあります。しかし、それでもOK。そんな風に、良い出来事に目を向ける姿勢に変わっていくことが大事。
そんな影響があるものだから、ボクは職場の仲間と飲みに行ったときにも、たまにグッド・アンド・ニューを始めることがあります。「じゃあ、この一週間でワクワク・ドキドキしたことは何? 1人1分間で話していきましょう」とファシリテートしていきます。これ、思いの外、盛り上がります。
あなたは、どんな言葉に囲まれて影響を受けていますか。あるいは、どんな言葉を発して影響を与えていますか。その状況を変えてみたいときには、一度、グッド・アンド・ニューをお試しください。