Accounting

収益認識の新基準の消化仕入れと消費税

収益認識の新基準のお話し、皆さん、気になるよーで。昨日の投稿「収益認識の消費税はおそろしく大変」も、かなり読んでいただいております。

 そこで今日は、調子にのって、収益認識の続編。消費税のシステム対応が簡単にできるワザをご紹介します。

 今回、取り上げるのは、「消化仕入」。百貨店で見かけることのあるという契約形態。人生で初めてこの契約を聞いたときに、「なんじゃ、それ」と驚いたことを覚えています。

百貨店の事例を考えてみる

 例えば、バンブー百貨店があり、また、その店子として、TKM48(ティーケーエム・フォーティーエイト)というショップが入っていたとします。ちなみに、TKM48というのは、今年が年男のボクを称した言葉。竹村が48歳ということ。まあ、それはさておき。

 バンブー百貨店に訪れたお客さんが、TKM48で買い物をします。消費税込みで1,080円のグッズを買いました。このとき、バンブー百貨店はどのように会計処理をするでしょうか。

 消化仕入という契約をしていたときには、1,080円の売上がバンブー百貨店に計上されます。もちろん、TKM48にも1,080円の売上が計上されますが、同時に、バンブー百貨店にも同額の売上が立つのです。

 バンブー百貨店は、場所を貸しているのだから、TKMに対して家賃をとるハズ。普通に考えると、その家賃収入が計上されると考えがち。

これが「消化仕入」だ

 しかし、消化仕入のときには、TKM48がお客さんにグッズを販売した瞬間に、バンブー百貨店がそのグッズを仕入れてお客さんに販売したことにする契約。だから、家賃収入ではなく売上高が計上されるのです。

 じゃあ、仕入は何か。例えば、売上高の90%で仕入れると契約するのです。すると、972円(=売上高1,080円×仕入率90%)の仕入が計上されます。この金額がバンブー百貨店からTKM48に支払われます。

 それって、売上高の10%を家賃収入として計上するんじゃないの、って思うところ。実際、会計の専門誌でも疑問が投げかけられていた論点。しかし、売上と仕入を両方計上する、いわゆる総額によって計上してきました。「それが消化仕入れだ」と押し切ってきたのです。

黒船がやってきた

 ただ、そんな主張も、外圧には敵わなかった。収益認識の新基準によって、グレーだった消化仕入に基づく売上と仕入の計上が、許されない状況になります。先の例でいえば、バンブー百貨店が売上高として計上できるのは、純額の108円の分だけ。

 こうした会計処理の変化を受けて、国税庁サンはいくつかの解説資料を公出しています。そこには、消化仕入れも含まれています。それによると、法人税は会計と同じように純額としての取扱い。もっとも、税金の計算は儲けの額で算定するため、売上高が総額であろうと純額であろうと、利益が同じなため、どちらであっても違いはありません。

 しかし、消費税は、違います。バンブー百貨店に対して、課税売上の対価は1,000円、課税仕入の対価は900円とします。今までと同じように消費税は取り扱います。

 すると、面倒なことが起こります。従来なら、会計のシステムで、1,080円の売上高を計上すれば、自動設定で80円の仮受消費税を計上してくれました。同時に、972円の仕入高を計上すれば、やはり自動設定で72円の仮払消費税を計上してくれました。

 ところが、収益認識の新基準になると、消化仕入れの契約であっても会計システムで売上計上するのは、純額の108円だけ。でも、消費税を計算できる環境にするためには、1,080円の売上高と972円の仕入高を集計しなければならない。どうすれば良いかと、一部で悩んでいるとのこと。

こんな解決策はいかが

 ボクの解決策は、カンタン。まず、従来の売上高については、売上高の補助科目でプラスで1,080円を計上します。次に、従来の仕入高については、売上高の別の補助科目でマイナスで972円を計上します。

 こうすると、売上高の科目としては純額の108円しか計上していないことになります。また、消費税も従来と変わらずに自動設定で集計し続けられます。何も難しい操作はいらない。単に、会計システムの補助科目を作るだけ。

 えっ、そんなことは、とっくに気づいていたって?

 では、今から話すことに気づいていたでしょうか。売上高の補助科目で対応する前提でいると、今からの話にはきっと気づいていないハズ。

さらなる対応手段

 それは、売上高を総額で計上できないなら、もはや、消化仕入の契約である必要がない、ってこと。おそらくは、売上高のボリュームが欲しくて編み出した技。

 しかし、収益認識の新基準でその目的が達成できないなら、消化仕入れという手段を使い続ける必要性がなくなるのです。消化仕入れという契約形態でなくなるなら、それを純額処理するときの消費税の集計に頭を悩ませなくてもいい。つまり、契約を変える、というより、元に戻すだけ。

 こう考えると、収益認識の新基準の対応は、シンプルにすることに尽きます。ややこしいことや、小賢しいことはしないほうがいい。いたずらに管理コストだけを膨らますだけ。もったいないでしょ、そんなコスト。仕事が増えるシステムの業者しか喜びません。

 シンプル、シンプル、シンプル。これが収益認識の新基準への対応。今以上にシンプルにできるものはありませんか。

P.S.
 2020年8月23日に、緊急レポート「新・収益認識の対応プロジェクトが進まない理由」を作成しました。収益認識の新基準への対応プロジェクトが進まずに悩んでいる方々に向けてヒントになれば幸いです。

 PDFファイルで全68ページの小冊子です。文字がびっしりの資料ではないため、読みやすいと思います。無料で手に入れられるので、ぜひ、こちらのページからダウンロードしてください。

P.P.S.

こちらのE-Bookも、大した告知をしていないにもかかわらず、お手にとっていただいております。お役に立てば何よりです。

 

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