Business model

ビジネスモデルに不可欠な要素

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

ビジネスモデルには、大事な要素があります。その要素を意識していなければ、ビジネスモデルではなく、単なるビジネス。そんなことに今日は気づきました。

 わかりやすいのが、プラモデル。プラスチック製のパーツを組み立てて作っていく模型のこと。ボクはといえば、中学生の頃に、ガンダムのプラモデル、いわゆる「ガンプラ」に夢中になっていました。大人の事情でパッケージ名が「ララァ・スン専用モビルアーマー」と変わる前のバージョンも持っていたほどに、発売されるとすぐに買っていました。

 そんなプラモデルは、目指す造形について、必要なパーツを組み合わせて完成させていきます。数十や百を超えるパーツを順番に組み立てていくことによって、望む姿が現れます。そこにムダなパーツはありません。

 反対にいえば、ひとつでもパーツが欠けると完成しない。たったひとつでも不足するなら、そのプラモデルは完全な状態にならないのです。

 一方、ビジネスモデルはどうでしょう。ビジネスモデルは、目指すビジネスの在り方について、必要な要素を組み合わせて完成させていくもの。プラモデルと同じように、ひとつでも要素が欠けると、目指すビジネスにはならない。十分には機能しないということ。

 では、ビジネスモデルに必要な要素とは何か。これはもう、答えが出ています。それは、「ビジネスモデル・キャンバス」に示されている要素。具体的には、顧客セグメント、提供価値、チャネル、顧客との関係性、収入、キーリソース、キーアクティビティ、キーパートナー、コストの9つの要素。これらからビジネスモデルは成り立っています。

 このビジネスモデル・キャンバスは、アレックス・オスターワルダー氏とイヴ・ピニュール氏による共著『

 この本を翻訳されたのは、小山龍介サン。以前に神田昌典サンとの対談の中で、このビジネスモデル・キャンバスの特徴のひとつに、顧客とパートナーが要素として含まれていることを挙げています。

 というのも、これらは自分ではなく他人、つまりコントロールできない存在。自分の外にある要素をフレームワークに組み入れることが、西洋的な観点からは馴染まないのではないと言います。日本人には違和感がなくても、彼らには非常に違和感があるだろうと。そのような趣旨のことを話したのを覚えています。

 このようにビジネスモデル・キャンバスでは、ビジネスモデルに必要な要素のひとつに、顧客を挙げています。ここで、もしかすると「それは竹村さん、商売だから顧客を考えるのは当たり前でしょう」と思っているかもしれません。確かに、お客さんがいなければ、ビジネスは成り立ちません。

 しかし、それはビジネスの話。ビジネスモデルの話ではありません。プラモデルのパーツのように、これが欠けると目指すビジネスが完成しないというビジネスモデルの話をしているのです。

 もし顧客を絞ることなく、「とにかく沢山いるのが良い」なんて答えているなら、ビジネスモデルではなく、ビジネス止まり。日本の経営者にも、こういうタイプは決して少なくはないでしょう。

 そのことに気付かせてくれたのが、ダン・ケネディでした。ダン・ケネディは常に、顧客を厳選することを説きます。もっと言えば、お付き合いしたくないお客さんを決めろとまで言います。ここまで決めている日本の経営者はどれほどいるでしょうか。

 これは何も、偉そうだとか、生意気とか、そういうことではありません。そうではなく、お互いに納得の行く仕事ができる状態を求めているのです。例えば、あなたがアドバイザリー業務をしているなら、そのアドバイスを聞かない相手や無理難題をふっかける相手だと、結果が出ないのは目に見えています。だから、そんなお客さんとはお付き合いしないほうが良いと説いているのです。

 これは、ビジネスモデル・キャンバス的にいえば顧客セグメントを厳選する、ということ。その顧客セグメントを決めるためには、顧客にしたくない相手も決めないとダメだと理解することができます。そこまで顧客セグメントを絞り込んでいなければ、ビジネスモデルは成立しないのです。

 それほど顧客セグメントとは、大事な要素。単に販売できれば良いということじゃなく、「この人のために」「この人に役立ちたい」というほどに想いを込めたうえで厳選する必要があるのです。だからこそ、ビジネスモデルのひとつの要素として、ビジネスモデル・キャンバスに組み込まれていると考えることができます。

 今日は朝から、そんな気づきにワクワクしていました。これからビジネスモデル・キャンバスをセミナーで取り扱うときに、こうした説明を交えることができます。もし、ビジネスモデル・キャンバスをテーマにした、誰もが参加できるセミナーを開催するときには、この話を持ち出すかもしれませんので、お付き合いくださいませ。

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