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森高千里サンから学ぶ言葉の使い方

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今日は、朝から頭の中にヘビーローテションで流れていたのは、森高千里サンの『私がオバさんになっても』。1992年(平成4年)にシングルとして発売されました。

 最近、平成を振り返る歌番組が多いですよね。そんな番組でピックアップされていた曲のひとつが、この歌。森高千里サンの代表曲のひとつ。

 この曲のサビで「私がオバさんになっても、~してくれる」と尋ねられます。こう聞かれると、多くの男性は、次の2つの反応を示します。1つは、ウンウンと頷くもの。もう1つは、大きく頷くもの。

 ボクは、間違いなく、大きく頷くタイプ。なぜなら、一度、病気で活動休止していた直後に、横浜アリーナで開催した復活コンサート「DO THE BEST」に参加したほどのファンだから。後にこのコンサートがビデオ化されたため、映っているんじゃないかと期待して買ってチェックしたのですが、残念ながら、発見できず。

 思うに、森高千里サンの才能のひとつは、作詞にある。言葉としての表現力。まるで隣で語りかけているかのような印象を与える歌詞を書くのです。

 畑は違うものの、言葉で人の心を動かすジャンルに、セールスレターがあります。ざっくりいえば、チラシ。セールスレターは、読んでいる人に語りかけるように書くのが鉄則です。それを読んだ人が、自分に説明されているかのように感じる結果、そこで進められている商品やサービスを買います。

 森高千里サンは、そんなコピーライターとしてのセンスが光りまくっている歌詞を書きます。この『私がオバさんになっても』の歌詞は、終始、隣にいる彼氏に話しかけているような雰囲気を描いています。その魅力は、2つあると考えています。

 魅力の1つ目は、女性語が多用されていること。女性語とは、女性の話し言葉のうち、丁寧で和語による言葉遣い。例えば、語尾を「~だわ」「~よね」「~なの」とするもの。これらは最近、めっきりと聞かなくなったせいか、歌詞でもお目にかからない。

 そんな中で、この曲では、歌い出しのAメロの4行のうち3行で「~わ」が使用されています。サビでも用いられています。ボクのような世代は、こうした言葉遣いをされると女性から話しかけられているように強く感じさせます。隣にいるかのように。

 反対に、今じゃ、こうした女性語が用いられていないため、「~よ」とか聞いても、むしろ時代を感じさせるのかもしれませんね。個人的には、表現のバリエーションが豊富なことから、良い文化だと考えています。もちろん、女性性を押し付ける意味ではなく、ボキャブラリーが多いという意味で。

 魅力の2つ目は、韻踏み。サビの最後に、次の歌詞があります。

とても心配だわ あなたが 若い子が好きだから

 ここのメロディラインで、次に【 】で囲んだ歌詞は、タタンと同じリズムを刻みます。

 とても心配【だわ】 あな【たが】 若い子が好きだ【から】

 どれも、母音が「aa」。これがタタンというリズムに合わせて、繰り返して発生するのです。耳に心地よいったらありゃしない。しかも、話しかけの仕掛けもあるうえで。これでは夢中にならざるを得ません。

 このように、リズミカルに話しかけられると、聞いている方としては心を動かされることがわかります。あなたが扱っている商製品やサービスを説明するにあたって、リズミカルだったり、話しかけだったりと、工夫を凝らしているでしょうか。

 リズミカルという点でいえば、ボクの考えは、和歌のリズム。新元号「令和」で話題となった万葉集をはじめとした和歌は、日本人のDNAに刻み込まれた、心地よいリズムの代表。今でも、五七五のリズムは、到るところで活用されています。むしろ、心地よいリズムだったからこそ、その形に至ったワケで。

 あなたが提供する価値を届けるときに、違ったインパクトを与えたいなら、日本古来のリズムを活用してはいかがでしょうか。その呼びかけに、ウンウンと大きく頷く若者が現れるかもしれませんよ。

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