組織が混乱する原因。いろいろと原因はあるけれども、ボクが四半世紀以上、会計士として組織を見てきた結果としては、ただ、ひとつ。
ボクは会計士として携わった現場には、上場企業もあれば、非上場企業もある。製造業や小売業、建設業もあれば、ソフトウェアやネット関連もある。民間もあれば、パブリックもある。そんな経験を通じて、組織が混乱する原因を知っています。
それは、従来とは違うことをするときに、それによる業務への影響を考えなさすぎること。今までと違うことをすると、今までとは違う結果が生じるのは当たり前。そのインパクトを軽く見すぎているのです。
新しい事業を始めるときには、業務フローが新規に追加されます。従来の業務フローが変わらずに使えるところもあるかもしれませんが、何かしら違いは生じます。その違いが大きなインパクトがなければ、「ちょっと手間が増えたな」の程度で済みます。しかし、インパクトが大きければ、実際に事業が始まった後に騒ぎ出し、揉め出し、混乱し出すのです。
人を採用するときも同じ。今まで想定していないキャリアの人を初めて採用するときには、入社時や入社後の研修について、新規にカリキュラムを増やす必要もあれば、その人にとって不要なカリキュラムをなくす必要もあります。それを検討せずに走り出すと、後でバタバタするのは目に見えている。
もちろん、事業の立ち上げのときには、売上を獲得することが一番大事なため、そんな影響は後回しで済むこともあります。スピードが求められている時期には、ブレーキをかけるマネはいりません。
しかし、成長期に入り、また、組織も大きくなってくると、標準化していかないと管理が大変になります。みな、同じような業務を行い、同じような研修を受け、同じような書類を提出することが求められていきます。また、それを前提として業務フローが構築され、また、運用されていくのです。
支流での川とは違い、それらが合流して太く長く流れる河になると、いかに速く、遠く、流れるようにしなければ、その河の流れは弱まっていく。組織も同じで、大量の業務や大勢の人数を業務フローに乗せるためには、より速く、よりゴールに届くようにしなければ、その組織の力が弱まっていくのです。これは、コンストラクタル法則の教えのとおり。
また、自分の部署での考えが浅いままに突っ走ると、他の部署からクレームが来ます。「勝手なことをされても困る」と。それで協力しれくれれば前に進みますが、反発されて協力してもらえないと、そこで業務は滞留します。業務フローが流れないのです。支流が勝手に流れを起こそうとしても、本流に乗れなければ跳ね返されるだけ。
では、組織が混乱しないようにするためには、何をしたら良いか。
その答えは、全社的な視点を持つこと。自分の部署だけのことを考えるのではなく、他の部署への影響についても思いを馳せるのです。つまり、支流にいても本流で流れていくことを想像する。これが大事。
ただ、この想像力は、人によってマチマチ。そんなときには、どうするか。対話、話し合えば良い。支流に居続けるのではなく、本流に合流してみる。これで解決。その対話を円滑にするスキルが、ファシリテーションですね。
組織の中の人や情報の流れを良くするためにも、ファシリテーション・スキルは必須。でも、これ、実際に体験してみないと、なかなか実感できない。ね、そっちの支流に居続けないで、こちらの本流に合流しませんか。違った景色が見えますよ。