なぜ、締切り日は、重なるのか。不思議なことに、締切りが同じ日、あるいは、ほぼ同じ日になることがあります。
たまたま重なった印象が強いだけかもしれませんが、同じようなタイミングで締切りを迎えることは少なくない。しかも、比較的、重めの案件で。
ボクは今月も、いくつかの締切りを抱えています。重い案件のトップ3のうち、ひとつが今日、無事にリリースに至りました。チームで取り組んでいた案件であったため、いろんな意見によってブラッシュアップできるメリットがあります。「なるほど~」や「やっぱり、そうだよね」というコメントが集まるため、完成度は高くなる。
その一方で、自分だけの時間軸では進められないデメリットもあります。前もってスケジューリングしていても、メンバーにこの案件以外で緊急対応が生じれば、そちらを優先せざるを得ない。その結果、当初のスケジュールどおりには行かなくなります。
これに対して、ひとりで抱えている案件は、自分の思うように進められます。また、予定したとおりに進められないのは自分の責任。そういう意味では気がラク。残りの2つの重い案件は、ボクひとりだけで作業していくもの。まだ完成してはいないものの、ほぼほぼ仕上げているため、もう一息で済むハズ。
そんなこんなで、今月も重めの締切りが重なってしまいました。でも、これ、決して偶然ではないと思うのですよ。人の気持ちに寄り添ってみると、気分の問題があると考えています。カンタンにいうと、区切りの良さ。「今月末まで」とか「今週末まで」とか。
実際、誰かに締切りを設定するときや仕事で締切りが設定されるときは、こうした区切りの良い日じゃありませんか。間違っても、週末でもないのに「来週の火曜日まで」とか「来月13日まで」なんて締切りは設定されない。
こうした区切りの悪い締切りにはお目にかかったことがない。あったとしても、それは極めて稀なケースだったんじゃないでしょうか。ということは、区切りの良さが締切りになっている説が有力。
でも、この区切りの良さとは、締切りを言い渡す側が、何も考えずに設定しているもの。今までそうだったとか、周りがそうだったとかの前例や慣習に従っているだけ。こうして無批判に締切りを設定しているのです。
だから、ボクは、締切りを言い渡す側のときには、2つのことに注意しています。その1つが、区切りの良さでは設定しないこと。その理由は、ニーズとウォンツの観点から。
締切りを言い渡すのは、その日までに提出を受けたものを使って何かをするため。であれば、その何かをするために必要な期間を確保するように締切りを設定すべき。これは、締切り設定のニーズからの理由。
また、締切りを言い渡される側に立ったときに、いつも疑問に思うのは、「金曜日まで」という締切り。締切りを言い渡す側は、金曜日に受け取ったところで、土日は休み。何もしない日が最初からわかっているなら、「月曜日まで」と設定するほうが良い。締切りを言い渡される側にすると、取り組む期間が丸2日も確保できるのは助かります。こちらは、締切り設定のウォンツからの理由。
もう1つ注意しているのは、締切りの時間まで指定すること。例えば、「6月28日(金)15時まで」という感じで。ときには、「6月28日(金)15時30分まで」と分単位の指定をすることもあります。
これは、心理的な効果を狙っての仕掛け。こうした指定によって、時間単位あるいは分単位に意識を向けさせる。すると、6月28日を守ることが前提になるため、遅延を防止することが期待できる。28日に間に合うかどうかではなく、28日の15時に間に合うかどうかにフォーカスさせるのです。
ボクがこうした指定をしているため、最近、事務所の後輩も「X月X日X時まで」と真似しています。「竹村さんがそうしているのは、きっと、何か意味があるからだろう」と考えてのことかと。後輩よ、その理由は、いま話したとおりだからね。
おっと、残りの2つの案件も片付けなきゃ。そうそう、そのひとつの締切りは「6月末まで」と指定されていたっけ。であれば、営業日ベースの「6月28日」ではなく、文字どおりの「6月30日」で良いハズ。取り組む期間が2日できるぞ・・・という解釈でいいですよね。
ほら、時間単位で指定しないから、何日が締切りかに意識が向くでしょ。