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説明したのに質問してくる人への対処法

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

何かを説明するときのこと。冒頭で話した内容について、説明した内容をあらためて質問された経験はないでしょうか。話し手としては、「せっかく説明したのに、どうして尋ねるんだ」と残念に思うこともあるかもしれません。

 しかし、それは聞き手のせいじゃなく、話し手の責任だとしたら。

 このことを理解する前に、説明する場面を思い出してみましょう。まず、どこかの部屋に入ります。オフィスの会議室かもしれません。次に、説明する場所に向かいます。椅子に座ることもあれば、プレゼンのためにスクリーンやホワイトボードの前に立つこともあります。

 で、互いの準備ができた段階で、話し始める。はい、ここでストップ。この「話し始める」ときの状況が大事なんです。

 ここで、いきなり「イエーーーイ」と大声で叫んだとすると、聞き手はどう感じますか。ライブ会場で人気スターが登場しての呼びかけなら、聞き手も「イエーーーイ」と返すでしょう。

 ところが、ここは会議の場。あまりにも突然のことで驚くかもしれませんし、あるいは、怪訝な顔をされるかもしれません。どちらにせよ、聞き手は、話し手とのテンションの違いに戸惑います。

 この「イエーーーイ」がライブ会場で成立するのは、そこに集まっている観客が、今か今かと人気スターの登場を待ちわびているから。ライブが始まる前から、テンションがあがっている。だからこそ、登場するやいなや、「イエーーーイ」と大声で呼びかけても、観客は反応できるのです。

 反対に、ライブの開始の第一声が、ビジネスパーソンの会議のように「では、皆さま、お揃いのようですので、始めさせていただきます」とかしこまっていたら、どう感じますか。観客のテンションはだだ下がるに違いない。

 観客としては、高まったテンションに合った呼びかけを待っているのです。かしこまった呼びかけでは、聞き手のテンションに合っていない。

 こう話すと、「そんな馬鹿な真似はしませんよ」と思ったかもしれません。いやいや、テンションが違うという意味では、同じことをしている可能性があるのです。それが、話すスピード。

 ボクも最近、ある説明をする場面で、同じような経験をしてしました。ボリュームのある内容でありながらも、説明する時間は限られています。こちらの説明で力点を置きたい内容もあれば、前回の内容と変わらない箇所もある。

 そのときの聞き手は3名。うち1人が初めての参加でしたが、経験があると事前に聞いています。そこで時間配分を踏まえて、説明の冒頭にある、前回から変わりのない箇所については、さらりと触れて済ませることにしました。それでも時間に収めるために、自分自身でもやや早口になっていたのを感じていました。

 で、説明を終えた後に、初めて参加された方から質問を受けました。それは、前回から変わっていない箇所についての質問。ボクとしては「えっ、そこから?」と驚くほどに冒頭の部分。経験があると事前に聞いていたのが、結果的に仇となったようです。

 もっとも、その他に反省すべき点がありました。それが、テンションの違い。やや早口になってしまった、そのスピードが、聞き手のテンションに合っていなかったのです。

 話すスピードも、テンションのひとつ。会議の場を想定したとき、話し手がいきなり早口では、聞き手は追いつけない。そこは、どんなに時間がなくても、最初はぐっとこらえて、ゆっくりと話すべき。徐々にそのスピードを上げていけば良いだけ。

 そんな反省をしながら、中谷彰宏サンの新刊『1分で伝える力』(リベラル社)をパッとページを開くと、次の記載が目に飛び込んできました。

静かに入って、テンションを上げていく。

 ああ、これは話すスピードに反省しろというサインだと理解しました。確かに、神田昌典サンの講演でも、出だしは静かに入っていきます。中谷サンといい、神田サンといい、話の上手な方は鉄則を押さえていますね。

 今月末に、所属する事務所で研修講師をする機会があるため、静かに入っていくと意識することにします。手帳には、研修を行う日の欄に「静かに入っていく!」とメモしました。

 あっ、そう言いながらも、スライドの2ページ目が「イエーーーイ」と腕を突き上げている人たちの写真だったっけ。ということは、1ページ目が勝負。頑張ります、ハイ。

 

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