Business model

「キャッシュ・オン・デリバリー」がなくなる日

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最近、スマートフォンによる決済サービスが増えていますね。ほら、ナントカPAY、ってやつ。あちこちのお店で、スマホを利用した決済ができるようになってきています。

 一方で、とあるコンビニでは、2019年7月にスマホ決済サービスを開始したものの、9月末に廃止すると発表。それもこれも、不正に利用されていたことが発覚したため。電子決済に特有なサイバーセキュリティが重要だが理解できた出来事でしたね。

 飲食店でスマホによる決済ができると、お客さんにとっては有り難い。なぜなら、お会計をするための時間を短縮できるから。その場を終わりにしたり、あるいは、次の場に向かったりとするときに、お会計がスマートでないとテンションが下がってしまいます。

 なので、お会計をいかにスマートに済ませるかは、ボクらの世代以上の男性にとっては必須科目でした。基本、男性がおごる精神ですからね。

 例えば、デートでの食事。終わり頃、女性に「化粧室とか、大丈夫?」と聞けば、大概は化粧室に向かいます。その間に、お会計を済ませておく。で、席に戻ってきたら「じゃ、出ようっか」と席を立つ。「えっ、お会計は?」と聞かれると、「なんだか今日は、サービスみたいだよ」と冗談っぽく答える。こんな感じ。

 あるいは、何人かでの食事会。こちらも終わり頃を見計らって、トイレに立つフリをしながら、そっと伝票を手にとり、お会計の場所に向かう。で、席に戻って、「さ、時間だから、引き上げよっか」と会を閉める。「えっ、お会計は?」からのくだりは同じ。

 こんな具合に、ボクらオジサンたちは、どれだけ工夫をすればお会計を見せないで済むかを考えていたものです。これは、食事の場でのスマートさですが、待ち合わせでも同じ。待ち合わせのお店で「さあ食事に行こう」というときに、お会計を待っていたり、財布を出していたりするのは興冷めだから。

 待ち合わせのお店でお会計がスマートにできるといえば、当時は、キャッシュ・オン・デリバリー。これは、注文した飲み物が提供されるのと引き換えに、その場でお会計を済ませる方式を指します。これであれば、食事をするお店への展開がスマートになります。

 ボクが20代の頃は、表参道の交差点近くに、キャッシュ・オン・デリバリーのカフェがありました。内装もよく、オープンエアにもなっているお店で、外国の方もお客さんもいらっしゃるため、雰囲気はバツグンに良い。また、当時はこの方式のお店も珍しかったため、話題としての価値もありました。

 もちろん、その当時はスマホどころか、携帯電話すら誰もが持ってはいなかった時代。スマートフォン決済サービスなんて、想像もしていない頃。だから、こうして現物のキャッシュをやりとりする方式くらいしか、お会計をスマートに済ませる方法がなかったのです。

 でも、キャッシュって、お客さんだけではなく、お店としても管理が大変なもの。まず、釣り銭を毎日用意しなければなりません。次に、お金の受渡しを間違えるリスクもある。さらに、釣り銭や売上金を盗まれないように守ることも必要になります。このように手間もかかれば、プレッシャーもかかるため、できることならキャッシュは扱いたくない。

 このときに、スマートフォン決済サービスを導入できるなら、お店側としてもメリットが多い。今後はきっと、キャッシュ・オン・デリバリーのように現物のキャッシュを取り扱うのではなく、スマホの決済によって電子マネーを取り扱う方法にシフトしていくのでしょうね。

 となると、やがて「キャッシュ・オン・デリバリー」とは呼ばれなくなるかも。「ペイ・オン・デリバリー」なんて呼ばれるのでしょうか。もしくは、Amazon GOのように、スマホを持ってお店に入るだけで、ヒトが決済することすらなくなるのでしょうか。その答えは風の中、いや、電子の中。

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