Business model

寄り添い、共感する、カスタマーエクスペリエンス

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

マーケティングやイノベーションの世界で、「カスタマーエクスペリエンス」という言葉を聞くことがあります。企業が提供する価値を顧客が受け取るときに何を感じているかを探ること。顧客体験や顧客経験と翻訳されています。

 例えば、小売店で顧客がレジに並びにくいと感じる状態にあるのなら、並びやすいレイアウトにしたり、並んでいることが楽しくなるような工夫をしたりすること。企業が製品やサービスを提供する一連の過程において、顧客が不便や苦痛、困難などを覚えるものがあるのかどうか、また、あるのなら、どう対処するかを考えていくのです。

 今日、ビジネス系の講演を聞きに行ったときに、海外の企業と比較して、日本企業はカスタマーエクスペリエンスが弱いと指摘されていました。だから、日本企業はもっとカスタマーエクスペリエンスに取り組むべきだと、講師は主張していましたよ。

 ところが。ところが。ところが。

 カスタマーエクスペリエンスの必要性を説く講演を行っている会場のイスが、あまりゆったりとしていない。ビジネスパーソンが聞きに行く講演のため、誰もがカバンや荷物を持っている。それを通路や足の上に載せながら、その狭いイスで座らなきゃならない。

 しかも、前半の2時間は休憩なし。また、早めに開場しているため、実質的には2時間30分程度は座りっぱなし。一列に10席以上もある中では、途中退席も無理なため、同じ姿勢を強いられます。おかげで、今でも腰が痛い。

 今日の会場は、そんなに古い施設ではなく、また、さまざまなイベントの会場としても使用されています。なのに、イスに座る観客のことを考えていない設計。この会場こそ、カスタマーエクスペリエンスを考えていないとツッコミを入れたくなりましたよ。

 例えば、設計の段階で、どこまで座る観客のことを考えたのか。この座席そのものの横幅は、想定している講演やイベントの時間を踏まえても、観客が苦痛にならないか。前の座席や隣りの席との距離は、長く座っていてもストレスに感じないか。チェックすべきポイントは、いくつもあります。

 また、仕上がった段階で、実際に座ってみたか。もちろん、その時点では作り直しはできないため、マンションのモデルルームのような試作品を作っていたのなら、これに座ってみることもできます。

 座るのは1、2分じゃなく、2時間といった本当に使用する時間で。カバンや荷物も持ち込み、また、隣りには足を投げ出す客もいるような状態で。そうじゃないと、観客が体験することを理解することはできない。少しでも観客に寄り添ってみたなら、これじゃダメなことがわかるハズ。

 同じことを、電車の改札で思うことがあります。基本、改札の幅が狭い。広めの改札が端っこに用意されている駅もありますが、だからといって、そこを使える保証はない。

 そんな中で、両手がふさがっていたり、大きめの荷物を持っていたりすると、改札を通ることがいかに大変なのかを実感できるハズ。きっと、荷物をもたず、前後に客もいない中で、悠々とひとりで改札を通り抜けることで検収したんじゃないかと、つい、勘ぐってしまいます。

 大事なのは、いかに顧客に寄り添うこと。カスタマーエクスペリエンスなんてカッコ良さげな言葉を振りかざす必要はなく、「顧客のこと、ちゃんと考えた?」と問うだけ。もっと端的にいえば、「共感」ですね。

 というワケで、セミナー講師をする方は、一度、お客さんとして行ったことのある会場がよいですよ。あちこちのセミナーを受講する中で、「ああっ、ここでセミナーをしたい!」とピンと来た場所で開催するのです。それが、カスタマーエクスペリエンス。それが実現したとき、めっちゃ嬉しいですよ。経験者は語る。

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