12、3年ほど前に、監査の現場で強く感じていたことがあります。特に、IPO現場でのこと。それは、安めの連結会計システムがなかったこと。
当時は連結会計システムといっても、限られた選択肢しかありませんでした。しかも、導入費用も高額なものばかり。その中でも低価格といっても、お試しするには高すぎました。
で、思ったのですよ。低価格の連結会計システムを提供できれば、もっと連結会計を行いやすくなるのではないかと。
というのも、連結子会社が数社しかなければ、表計算ソフトでも対応できる状態。もちろん、表計算ソフトでは生成できる情報は限定されますが、それでも最低限のことはできます。
上場していて連結財務諸表を作らなければいけない企業であれば、それはちゃんとした連結会計システムを導入して然るべき。しかし、これからIPOを目指そうと言っている会社にとっては、その当時のシステム導入費用はバカにならないものでした。
なので、連結子会社を3社までという制限をつける代わりに、低価格で導入できる連結会計システムがあれば良いなと心底、考えていたものです。そうすれば、IPOを目指す会社で連結財務諸表を作ることのハードルが相当低くできます。
一方、上場企業でも連結子会社が数社という状況は珍しくはありません。表計算ソフトで、エラーを気にしながら連結作業を行っていく。単純なエラーまで気を使うなら、もっと別のところに目を向けたいところ。だから、低価格の連結会計システムがあれば、上場企業に対しても役立つハズ。
また、難しい論点は扱わないと割り切ります。企業再編などは連結会計システムで直接は扱わない。精算表にフリーの連結仕訳を入力できるような列を設けておくことで、自由に使ってもらうのです。
連結キャッシュ・フローなんて、もってのほか。それは別のところで対処してもらいます。あくまでも連結BSと連結PLのみ。こうして、ややこしい機能をすべて取り払うのです。
そんな想いをふと、今日、思い出しました。ボクの頭の中では、大枠の絵が浮かんでいたのですが、当時は開発コストがネックだと感じたため、実現するに至りませんでしたよ。
しかし、今の時代は、IT環境を低価格で扱えます。また、サブスクリプションという課金制度も一般に受け入れられている状態。すると、イニシャルコストを押さえ、かつ、ランニングコストも低価格とすることもできます。多くのユーザーを獲得できれば、開発コストもペイできるのです。良くないですか、これ。
10年の月日は、こんなにも経営環境を変えるのですね。もっとも、こういう時代だと、自社で連結のためのアプリを作ってしまうのかもしれません。中学生がスマホでアプリを作っちゃうほどですからね。
ただ、連結会計の知見がないと、アプリを作るにも、ちょっとしたところがスムーズに行かない。そもそも連結の経験がある経理パーソンは、極めて少ない状況。上場企業でも連結を作成できる人が多くはいないところもあるでしょう。
すると、専門家の出番です。開発コストはクラウドファンディングで調達できる環境にあります。あとは、連結会計をもっと手軽に扱ってほしいという意欲溢れた専門家が集えば、なんとか、なりそうじゃありませんか。
というワケで、熱い想いのある専門家の方々は、ぜひ、立ち上がってください。連結会計を民主化しましょうよ。