気がつけば、もう、2019年10月28日。あと2週間もすれば、研修講師をする日がやってきます。ボクが所属している事務所で、会計監査について解説する予定。
概ね構成は決めていたものの、当日のスライド資料をどうするか、決めかねていました。当初、一枚の写真だけで研修を進めようかなと。しかも、会計監査とは関係のない写真で。あっ、でも、ちゃんと研修で伝えたいメッセージに繋がるものですよ。
その1枚の写真でマインドセットした後に、会計監査の資料に直接、当たってみるという構成。その資料は然るべき組織から公表されている一次資料のため、研修としてはきちんと成立しています。
むしろ、座学で聞きっぱなしで終わるような研修ではなく、主体的に取り組む進行のため、はるかに効果的。なので、一般企業における社内研修として考えれば、何の問題もありません。
しかし、監査法人という組織は、外からの目も入ります。会計士協会の品質管理レビューや金融庁の検査といった外部のチェックがはいったときに、研修資料の内容も確認されます。
そんな中で、会計監査と関係がないような写真だけが研修スライドだと、なんだか印象が悪そうじゃないですか。というワケで、しっかりとスライド資料を作ることにしましたよ。
話す内容や使うネタといった素材は揃っていたので、あとは構成を考えれば、スライドが作れます。ボクがいつも使っている方法論で、研修スライドの構成を組み立てていました。A4の白紙に、付箋紙を貼り付けていく。ひととおり貼り終わると、全体像が一望できます。
ただ、すっきりしない。流れは出来ているものの、どうも一本調子の感じが否めない。理由を考えてみると、ボクの主張を押し付けている面が強いのではないかと感じました。こちらの言いたいことだけを一方的に伝えているだけだと。
そこで、受講者のインサイトを探ってみることにしました。昨日のブログ「会議の議論を転換させるテクニック」で話したように、研修に参加する人の内側に潜り込むことにしたのです。ここで登場するのが、神田昌典サンが開発した「インサイト・ファインダー」。
インサイト・ファインダーとは、マーケティングの局面で顧客のインサイトを探るための思考ツール。ボクはこれを執筆や研修などに使っています。顧客だろうと受講者だろうと、どちらも相手がいることには変わりがないため、このツールを用いているのです。
これを使った結果、研修で伝えるメッセージが、クライアントに目を向けた呼びかけに転換できました。このツールを使うまでは思いもつかなかった発想が生まれたことに驚き。こうして、ボクの言いたいことの押し付けではなく、利他的な視点を提供する内容に変化することができましたよ。
しかも、研修スライドの構成はほぼ変えることなく。あるスライドに、たった一言を添えるだけ。でも、その一言がなければ、単なる主張の押し付けにとどまってしまう。いや~、ホント、面白いですよ、インサイトって。
こうなると、もう、研修の当日が待ち遠しい。早く、この一言の反応を確かめたくて仕方がない。「あと2週間」どころか「まだ2週間もあるの」という気持ちに切り替わっています。
やっぱり、研修講師は楽しい。あなたもインサイトを深めてみませんか。