Business model

イノベーションを生み出すには、見立て遊びを楽しめ

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

昔の名作について、今なら誰がやるかを考えたり、議論したりする遊びがありますね。映画やテレビドラマ、イベントなど、あのときのキャスティングと変えるなら、一体、誰を見立てるかと。

 クリスマスが近づいていたために、ボクはひとり、この遊びをしていました。題材は、1986年と1987年の12月24日に日本テレビ系列で放映された『メリー・クリスマス・ショー』という音楽番組。桑田佳祐サンと吉川晃司サンとで企画されました。

 その番組では、普段は一緒に演奏することがないアーティスト達が、クリスマスにちなんだ楽曲をコラボで演奏します。既存の曲もあれば、書き下ろしの曲もある。あるいは、アレンジが斬新な曲もあれば、洋楽と邦楽が似ている曲のミックスもある。さらには、本気のロックもあれば、お笑いの要素が強い楽曲もある。こんな風に、クリスマス・プレゼントのようにお楽しみが満載でした。

 あれから30年も過ぎてしまっていますが、今、この番組を再開するとなると、一体、誰が良いかを考えると、ワクワクしてきます。あの頃のメンバーが集うのは最高ですが、おそらくはギャラが高すぎて実現が困難になります。なので、今、30代くらいのアーティストで構成すると、誰にするかを考えていきます。

 最初、アン・ルイスさんのポジションを考えてみました。ロックな感じで、一人、バンドを率いて活動している女性アーティスト。パッと浮かんだのは、Superflyのヴォーカルの越智志帆サン。想像してみると、いい感じでハマります。よしよし。

 次に考えたのは、BARBEE BOYSのヴォーカルの杏子サン。色気がありながらも、パワフルな歌声でステージを盛り上げられる女性アーティスト。椎名林檎サンだろうか、それとも桑田佳祐サンを崇拝しているaikoサンだろうか。お二人とも素敵なアーティストですが、別のコラボで活躍してほしい感じ。

 すると、パッと思い浮かぶ人がいないのです。これは、最近のアーティストが原因ではなく、ボクが原因。ボクが最近のアーティスト事情を知らないから。手持ちのカードが少なければ、採用できる戦略にも限界があります。ボクの見立て遊びは、ここで終わってしまいました。

 まだ、遊びだから問題は生じませんが、これがビジネスでイノベーションを考える場だと大きな問題です。何も浮かばないのもリスクだし、何も浮かばないからといって少ないカードで勝負に出ることもリスク。

 イノベーションを起こすなら、ちゃんと関連する事項を調べたうえで、手持ちのカードを増やしておくことが必要です。採り得る選択肢を増やしておかなければ、打つ手も限られてしまいますからね。

 ただ、現実には、この調査を怠るケースが珍しくない。何の準備もなく会議室に集まったはいいが、当然に新しいアイデアが出ることはなく、己の乏しい経験に照らしてイノベーションもどきを起こそうとする。失敗するのは目に見えています。

 イノベーションで世界的に著名なハイス・ファン・ウルフェン氏が提唱する「FORTHイノベーション・メソッド」の中には、観察と学習をメインとしたフェーズが設けられています。このフェーズで、関連する情報をとにかく集めまくるのです。

 ボク自身が仕切るプロジェクトで、このFORTHイノベーション・メソッドを使うことがあります。このときに、観察と学習について取り組みが十分なプロジェクトでは、その後の展開もスムーズ。しかし、情報の集め方が弱いプロジェクトでは、出てくる成果物も知れています。

 情報技術の世界で「Garbage in, garbage out」という格言があるとおり、ゴミを入れてもゴミしか出てきません。アイデアを生み出すときも同じで、インプットの量でアウトプットの質が決まってきます。インプットが少なければ、アウトプットの質を高めるのは困難なのです。

 見立て遊びをするにも、イノベーションを起こすにも、もともとのインプットの量によって、楽しめるかどうか、成果物を生み出せるかどうかが変わってきます。楽しむなら、インプット。それを実感した今日でした。で、杏子サンのポジションは誰にしようか。

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