随分と高い階段を登らせようとするもんだ。それは、昨日のブログ「ビジネスモデル・キャンバスの右側エリアの攻略法」でお話ししたフロントエンドとバックエンドのこと。これらの価格差が大きいと感じるセミナーがありました。
先日、参加したミナーは、受講料が1万円のところ、最後に誘導していたコースが30万円。その前に参加したセミナーは、受講料が5,000円のところ、最後に誘導していたコースが120万円。このように価格差が大きいのです。
ボクは神田昌典サンの『あなたの会社が90日で儲かる!』(フォレスト出版)で、顧客の階段という考え方を学びました。顧客が登る階段が急激に高すぎては、次のステップに進んでもらえない。登れるくらいの高さの階段をいくつか用意しておくことで、スムーズに上まで、つまり、バックエンドまで足を運んでくれると。
だから、フロントエンドの価格に比べてバックエンドの価格があまりにも高額なときには、階段の高さが急すぎるため、顧客が次の階段に進みようがないのです。もちろん、そんな高額なコースでも申し込む人はいらっしゃいます。仮に僅かな人数であっても、ビジネスは成立するのでしょう。
しかし、顧客の視点に立つと、もう少しなだらかな階段を用意して欲しいところ。フロントエンドとバックエンドの間に、もう1ステップがあるとか。そうならば、喜んで、そのステップを購入するのに。
もっとも、そんな顧客を相手にしていないのかもしれません。とはいえ、提供している内容にひとたび関心をもってしまった顧客は、行き場を失ってしまう。その結果、劣悪かもしれない他の誰かのサービスを利用せざるを得ないことにもなる。
そう思っていたところ、今日、読んだ本に、これらの関係を明確にしたフレームワークが示されていました。その本とは、『Choose. 新しいビジネスで勝つための最強の選択術』(ダイレクト出版)。著者は、アメリカで最も急成長した非上場企業500社リストに名前が挙がった会社のCEOであり起業家でもあるライアン・レヴェスク氏です。
ここで紹介されたフレームワークは、「イン・アップ・マックス」というもの。これは、3つの階層からなるピラミッド型で描かれます。
最も広い下段の階層は「イン」。本来、提供したいビジネスまで誘導するための低価格商品のこと。いわゆる、フロントエンドです。
次に広い中段の階層は「アップ」。フロントエンドを購入した顧客が次に購入する、より高額な商品のこと。本書の特典を見ると、バックエンドとして位置づけられています。ただし、次の「マックス」もバックエンドのため、2つに分解していることがわかります。
最も狭い上段の階層は「マックス」。提供したいビジネスのうち最高額の商品がこれ。「アップ」よりも高額なバックエンドとなります。
こうして3つの階層にわけたときに、価格の目安も示されています。アップは、インの10倍。また、マックスは、アップの10倍つまりインの100倍。桁数をひとつずつ上げていくのです。価格にゼロを付け足していくように。
このフレームワークで示された階段の高さは、ボクのイメージに近い。30万円のマックス商品なら、まずインとして3,000円の商品を、次にアップとして3万円の商品を提供する。
もしもバックエンドの価格が一般的な感覚で相当程度に高額な場合には、バックエンドを2段階にする。インとマックスの2つだけではなく、その間にアップも用意する。業界や取り扱っている商品にもよりますが、これがインの顧客にとって嬉しいハズ。少なくとも顧客としてのボクはそう。
ところで、この『Choose.』という本は、『Ask』(仮邦題:アスク:質問しよう)の前編に当たるとのこと。『Ask』では、顧客が買いたがっているものを正確に知るためのマーケティング方法論を説いたそうです。ただ、間違った市場を選択してしまっては元も子もないため、成功する市場の選び方について『Choose.』で書いたと言います。
となると、読者が次に関心を向けるのは、『Ask』の翻訳書。階段ではありませんが、次に進むステップとしては当然にこれ。ダイレクト出版さんが引き続き翻訳してくれることを願っています。