先週末、とある本を探していました。それは、リモートワークのやり方をまとめた洋書。以前のブログ「ノーベル賞からのオンライン研修」で紹介したものです。
ボクの書棚では、書籍の内容に応じて、いくつかのカテゴリー別に所蔵しています。マーケティング関連ならここ、ライティング関連ならここ、会計関連ならここ、という風に。本の在り処を思い出そうとするときには、本の内容に照らして、あのカテゴリーだと当たりをつけて探しに行くからです。
そんな内容別の所蔵であるにもかかわらず、洋書に限っては内容を問わず、一箇所にまとめています。洋書はそれほど多くは持っていないことから、該当する本を探すときには、内容からではなく、洋書であることをキーとするため。
このような書棚システムによって、探している本にできるだけ迅速にたどり着けられるように工夫しています。ところが、これが機能しない場合があります。それは、本を書棚に置いていない場合。
例えば、読みかけの本や読もうとしている本、あるいは、読み終わっているものの書棚に戻していない本など。本が書棚システムの外にあると、迅速にたどり着けるための工夫が活かされなくなるのです。
とはいえ、そこまで広大な自宅ではなく、また、自身の行動パターンから、書棚以外で本を置く場所は限られています。多くは机のうえに積まれているか、または、その周辺に積み重なっている。だから、その辺りを探しにいけば良い。
で、例のリモートワークの本を探すときに、まずは書棚の洋書コーナーをチェックします。ここで見つからなかったため、その次は、机の上や周辺をチェック。それでも見つからない。こうなると、永遠に出会えないような気がしてきます。
ボクが探している本は、一体、どこにあるのか。どこに隠れているのか。このときに思い出したのは、「変化の見落とし」(Change blindness)と呼ばれる脳機能の働き。
人の目や脳は、危険を察知するためか、動いているものに気づきやすい性質があるそうで。何かがA地点からB地点に移動すると、それに注目してしまいます。歩いていたり座っていたりするときに、突然、何かが現れると、それに関心が向いてドキッとするのも、これのため。
反対に、動かないものの変化には気づきにくい。昔、そんな脳トレが流行ったように、ある画像で一箇所だけがゆっくりと変化していっても、なかなか気づきにくい。動かないものは変化しないと、脳が思い込んでいるのです。
こうした脳の働きから、探しものがみつかりにくいと説明していた本がありました。それは、投資家から巨額の資金を調達しているオーレン・クラフ氏による『シリコンバレーの交渉術』(ダイレクト出版)。
この本によれば、探しているものが動かなければ、脳が反応しないため。本が勝手に動き出すなんて、映画の世界か、手品でもない限り、ありえないですからね。
本が勝手に動かないから見つけられないなら、自身が普段とは違う動きをすれば良いものでもない。普段は横に視線をやって探しているところ、縦にしたところで、本そのものが動かなければ脳は反応しない。結局は、ここにあるはずだ、と場所を絞り込んで見つけた次第。
ここに、ビジネスの大きなヒントが隠されています。あなたのビジネスは、この探そうとしている本のような状態かもしれません。もっと認知を高めたいなら、「変化の見落とし」から脱すれば良い。なんてことも、先ほどの本に書いてありましたよ。こっそりとお伝えしますね。