Accounting

KAM早期適用のリサーチからの気づき

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

行動力の高い方って、いらっしゃいますよね。あるプロジェクトで、皆が悩んでいるときに、すぐにプロトタイプを作ってしまう人。それがたたき台になって、ゴールを達成しやすくなる。

 そういう人は、ある程度、検討したら、すぐに行動に移します。行動に移せば何かしらの結果が出るため、それを修正していくのです。そうやってゴールに近づいていく。

 だからといって、検討もそこそこに済ましてはダメ。行動の方向性が違えば、とんでもない結果が出るため、そこからの軌道修正の幅も大きくなってしまいます。つまりは、大変だ、ってこと。

 したがって、行動に移す前の「ある程度の検討」は、方向性を見極める必要があります。とはいえ、時間をかけすぎてもいけない。行動に移さなければ、永遠にゴールに辿り着かないから。

 ボクが観察したところでいえば、方向性の見極めには、リサーチが必要。ちょっとしたリサーチであっても、得られるものは沢山あります。プロジェクトものでいえば、そのユーザーの不満や悩みを知ること。

 方向性がずれるのは、ユーザーの不満や悩みについて検討はするものの、仮説で終わってしまう人。「きっと、こうに違いない」と考えるのは良いのですが、それが正しいという前提で行動に移してしまう。

 その人がひとりでプロトタイプを製作する分には、自身の苦労だけで済みます。それに対して、周りの人に巻き込んで製作すると、他の人の時間まで奪ってしまいます。これは組織人として罪なこと。

 だから、仮説にとどまらずに、それを裏付ける事実や状況についてもリサーチすることが大切なのです。少しでもリサーチすれば、見えてくる世界がありますから。

 そんなボクも、最近、KAM(監査上の主要な検討事項)を少しだけリサーチしただけでも、新しい発見がありました。KAMが財務報告にどのような影響を与えるかについては、あらかじめ想定していたことがありました。それは、最新刊『ダイアローグ・ディスクロージャー KAMを利用して「経営者の有価証券報告書」へとシフトする』(同文舘出版)に記載したとおり。

 しかし、先日のブログ「ついに判明、KAMの早期適用の状況」で紹介した、KAMを早期適用した事例について分析を進めていくうちに、想定していなかったこともあったのです。早期適用の41社のすべてを分析するまでもなく、それを知ることができました。

 やはり、KAMは監査人だけの話では済みません。企業の開示にも影響を与えかねないのです。例えば、会計上の見積りに関連したKAMと、有価証券報告書で会計上の見積りに関する記述情報との関係性。記述情報のほうが詳しいケースもあれば、KAMのほうが詳しいケースもあります。

 情報開示の主体は企業であるため、本来的には記述情報のほうが詳しくなって然るべき。あるいは、財務諸表の注記のほうが詳しくなっているべき。

 それに対して、KAMのほうが詳しくなっているケースだと、なぜ、そのレベルでの開示や説明で十分と考えたのかが問われかねない。KAMにおける具体的、詳細な記載が必要なものだとするなら、注記や記述情報でも開示が必要なのではないでしょうか。

 もう少し踏み込むと、KAMに関する協議をどのように行っていたのかも気になります。KAMが自分たちよりも詳しく記載すると知っていながら、そこまでに至らない記述情報や注記でとどめておくことについて、社内でどう検討されたのか。

 有価証券報告書を提出する企業は、KAMの記載ぶりを監査人と協議するだけではなく、自身の開示の仕方についても社内で検討しておくべきなんじゃないかと。そんな論点も、KAMが早期適用された事例をほんの少し見てみるだけで得られます。ね、リサーチって大事でしょ。

 そんなリサーチ結果と企業の開示への影響について、どこかの機会で発表してみようかしら。そのときが来るまでは、事前に想定していたことについて、拙著でご確認ください。

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P.S.

日本におけるKAM早期適用事例の分析について、当ブログでは「財務報告の流儀」というシリーズ投稿で解説しています。ただ、ワンコインの有料コンテンツとして提供しているため、「お試し版」をこちらで用意しています。

 

P.P.S.

2020年3月期の上場企業で早期適用されたKAMの解説は、書籍『事例からみるKAMのポイントと実務解説―有価証券報告書の記載を充実させる取り組み―』(同文舘出版)として発売されました!

 

 

 

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