Accounting

2022年3月期以降の開示に向けてキャッチアップすべき情報

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

経理関係であったり、会計士であったりと、財務報告に関連する方が今、注目すべき情報とは、金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(令和3年度)でしょう。異論は認めるけど、聞く耳を持たない。

というワケで、先週の2021年10月1日(金)に開催された金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第2回)の資料1「事務局説明資料(1)(第1回会議における主なご意見)」について、気づき事項をシェアしますね。

議論の優先順位

第1回目の会議では、今回のディスクロージャーワーキング・グループにおける議論の優先順位について検討されました。最優先すべき議論は、サステナビリティ。特に気候変動が具体的な項目として挙がっています。

海外では、気候変動は開示の話にとどまりません。会計処理に反映すべきものであれば反映し、注記として開示すべきものは開示する、という話になっています。すでに、イギリスでは、気候変動に関する注記を行っている企業も登場しています。

まだまだ日本では騒ぎになっていませんが、2022年3月期には財務諸表の開示として対応する企業が出てくると予想しています。特に、「クライメート・アクション100+」がリストアップしている日本企業の動向に注目ですね。

「えっ、そんな話になっているの?」と驚かれたときには、こちらのブログ記事「あなたの知らない、気候変動が会計に与える影響」をご覧ください。案外、2023年3月期以降の決算留意事項の目玉になっている可能性がありますから。

ちなみに、最近、このブログの更新が滞っているのは、単行本の執筆を行っているから。それが気候変動にも絡んでいるため、いわゆる有価証券報告書の前半だけではなく、後半部分の財務諸表への影響についてもカバーしようと考えています。2022年3月期の決算には間に合う時期に発売できるよう、頑張っています。

監査役等の活動状況に関する記述情報

有価証券報告書における記述情報の充実に関する改正を受けて、監査役等の活動状況についても詳しい記載が求められています。ところが、「事務局説明資料(1)(第1回会議における主なご意見)」によれば、次のように指摘されています。 

監査役等の活動状況の報告作成は、事務方が起案したものが見受けられる。グローバルに他国の開示を見ると、委員会がどう考えどう動いているか、委員長が自らの言葉で説明する説明責任を果たしている面がある。日本には乏しい考えだが、そういった考えを整理してWG報告書に取り込んでいくことも必要。これは、サステナビリティの考え方を推進していくところでも関係してくる。

特にイギリスでは、監査委員会の監査報告に記述されるべき事項として、財務諸表に関連して監査委員会が検討した重要な課題(significant issues)及び当該課題への対応が挙げられています。そう、まるで監査人のKAM(監査上の主要な検討事項)のように。

これについては、会計専門誌『旬刊経理情報』(2021年8月20日・9月1日合併号)に、収益認識を例にして事例を仮訳した記事「英国の開示事例から学ぶ 収益認識基準への監査役等の対応ポイント」を寄稿しています。ぜひ、こちらもご覧ください。

そうそう、監査役等の活動状況に関する記述情報についても、執筆している中で、ある論点に関する開示状況を調べ上げたうえで、優良事例を紹介しています。こういうところでも、どんどん差が開いていきます。実例をみると、実感できるハズ。

コーポレートガバナンス・コード

ディスクロージャーワーキング・グループの資料を見ていると、有価証券報告書における記述情報とコーポレートガバナンス報告書との重複が指摘されていました。具体的には、次のように記載されています。

ガバナンスについては、コーポレートガバナンスの状況という項目があるが、相当詳細に記載しているコーポレートガバナンス報告書等を参照できるかなど、枠と内容について議論しても良いのではないか。

これ、ホント、そうなんですよね。コーポレートガバナンス報告書の作成支援をやっていると、有価証券報告書と開示が重複している箇所があることを痛感します。今回のディスクロージャーワーキング・グループで、その状況を解消するような方策が打ち出されると、関係者の負担が軽減できて良いですね。

そういえば、統合報告の保証業務であったり、有価証券報告書の記述情報に関する保証業務であったりと、財務諸表以外の箇所についても第三者による保証を求める声が挙がっていますが、コーポレートガバナンス報告書にはそういった声を聞くことがありませんね。まあ、コンプライとエクスプレインの判断を保証するのは、少し厳しいかもしれません。とはいえ、重要な資料のため、そういう方向性があっても良さそう。

おっと、気づけば、2,000字近くになっていました。では、また。

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