Brain Brainstorming Bulb Business - mohamed_hassan / Pixabay

Accounting

企業不祥事が起きるかどうかは、コーポレートガバナンス報告書を見よ

もしも、コーポレートガバナンス報告書から、企業不祥事の端緒がつかめるとしたら。これ、案外、面白い分析かもしれません。

先日、JICPAのEラーニングを受講していました。テーマは、「取締役会評価の実際と課題」と、コーポレートガバナンス・コード関連のもの。

講師は、ボードルーム・レビュー・ジャパン株式会社の代表取締役であり、また、ジェイ・ユーラス・アイアール株式会社のマネージング・ディレクターでもある高山与志子サン。なんでも、以前の同テーマの研修が好評だったために、2021年12月にアップデート版として開催されたようです。

その中で、取締役会評価と企業不祥事とする説明がありました。ボクの記憶とメモが正しければ、不祥事を起こした企業における取締役会の実効性評価は、質問やアンケートにとどまっている、ということ。

 

ここからの説明の注意事項

ひとつ、言い訳。本来なら、記憶とメモに頼らず、Eラーニングの該当箇所をもう一度確認したうえで、ブログで説明すべきでしょう。しかし、JICPAのEラーニングは不正受講対策が強化されるがあまり、早送りもスキップもできない仕様。

1つの講義が15分や20分単位で分割されています。そのため、ある時間帯を復習したくても、もう一度、15分から20分、聞いていなければなりません。早戻しもできないことから、10秒戻りたい、ということもできません。復習の環境整備に期待したいところ。

なので、記憶とメモに頼った内容を共有しますね。

 

不祥事が起きた企業における、取締役会の実効性評価の手法

取締役会の実効性評価の手法には、質問、インタビュー、取締役会におけるディスカッションの3つが挙げられます。特に第三者評価を行う際には、新しい知見が得られやすいため、インタビューの実施が勧められていました。

反対にいえば、質問やアンケートといった手法は手間がかからない分、実施しやすい面があります。ただし、深みがあるかどうかは工夫次第でしょう。

そのためか、不祥事を起こした企業では、取締役会の実効性評価の手法が質問やアンケートにとどまっている、というのです。ボクの記憶とメモでは、そうなっています。間違っていたら、ごめんなさい。

 

調査結果

で、調べてみました。来月の2022年3月に、不正対応に関するセミナーを行うため、そこで用いた3つの事例で、取締役会の実効性評価の手法を確かめたのです。

その結果、2社は、質問やアンケートにとどまっていました。もう1社は、実効性評価が実施されていませんでした。

さらに、ここ最近、話題になっている会計不正の事例でも調べてみたところ、やはり、実効性評価の手法は、アンケートでした。もちろん、サンプル数が少なすぎるため、これで全体を結論づけることはできませんが、それでも興味深い結果です。

 

因果関係を考えてみると

おそらくは、取締役会の実効性評価について、自主的かつ深く実施する企業では、経営者のそうした意識がガバナンスの状況に現れるのでしょうね、きっと。もともとイギリスやアメリカの企業は、1990年代から自主的な取組みとして実施されていたようですから。

反対に、コーポレートガバナンス・コードで求められているから実施する、といった姿勢では、ガバナンスが心配な面があります。「実施したい」ではなく、「実施しないといけなそうだから」では、そういう姿勢が社内に伝わるものと推測されます。

これ、とても興味深い指摘ですね。ちょっと、自身の分析に取り入れてみようかと。来月の不正対応のセミナーでも説明を加えようかどうか、検討中。でも、今の想定でも持ち時間目一杯だから、どうしよう。

そうそう、実は、KAMでも、「不適切な会計処理」との関係について、仮説を立てています。こちらについては、順次、検証を進めるつもり。めぼしい調査結果が得られたら、どこかで発表しますね。

 

P.S.

高山与志子サンは、取締役会評価の本を書かれていますね。タイトルはスバリ、『取締役会評価のすべて』。その第5章には、「5.2 取締役会評価と企業不祥事」の節が設けられています。これはチェックしたくなりますね。

 

Play Stone Network Networked - geralt / Pixabayアナリストの本音が見え隠れする、優良なKAMの条件前のページ

なぜ、後発事象のセミナーで、気候変動に言及するのか次のページ

関連記事

  1. Accounting

    過去の論文をグレードアップ

     論文って、アップデートが必要じゃありませんか。当時の内容を今の状況に…

  2. Rice Rice Grains Food Eat - ulleo / Pixabay

    Accounting

    倍々ゲームで増えていくKAM強制適用事例

    こんにちは、企業のKAM対応のスペシャリスト、竹村純也です。…

  3. Accounting

    『体験的ガバナンス論 —健全なガバナンスが組織を強くする』からの学び

    コーポレートガバナンス・コードといえば、興味深いデータがあります。そ…

  4. Accounting

    今年の確定申告で、地味にスゴい点

     気になっていたことが片付くと、すっきりしますね。今日は、ずっと「やら…

  5. black and silver laptop computer

    Accounting

    証券アナリストのKAMの活用方法って、実は

    こんにちは、企業のKAM対応のスペシャリスト、竹村純也です。…

  6. Accounting

    あなたの知らない、注記に影響を与える後発事象

    注記事項にも後発事象があると聞いて、いくつ思い浮かびますか。そもそも…

  1. Horse Rider Equestrian Equine - romavor / Pixabay

    Accounting

    のれんの償却・非償却論争の原因
  2. Accounting

    財務報告の流儀 Vol.039 松井証券、PwCあらた
  3. Accounting

    5,280円の本を買うと、1万円相当の解説動画を無料プレゼント
  4. Accounting

    有報・記述情報の充実に上場企業は対応できるのか
  5. lightbulb concept cork bulletin 2692247

    Accounting

    内部統制基準等の公開草案は、審議時からこう変更された
PAGE TOP