FSFD

TCFDのファイナル・レポートに触れていないこと

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

2023年10月12日、TCFDが最後のステータスレポートを公表しました。これは、TCFD提言や推奨開示に沿った開示の動向を分析したものです。

この報告書の作成は、TCFDを設置した金融安定理事会(FRB)から求められていました。しかし、2023年6月にISSBからIFRSサステナビリティ開示基準が公表されると、金融安定理事会はこの基準がTCFDの作業の集大成であると評価したうえで、2023年ステータスレポートの公表をもってTCFDの解散を示唆したのです。

こうして最後を迎えたステータスレポートは、過去5回の報告書よりも充実したものとなっています。次のとおり、印字された最終ページ数、「はじめに」を除いたセクション数は、ともに過去最高の水準です。

回数レポート名最終ページセクション数
12018ステータスレポート87ページ4
22019ステータスレポート135ページ5
32020ステータスレポート112ページ5
42021ステータスレポート115ページ3
52022ステータスレポート144ページ4
62023ステータスレポート151ページ6

近年のセクションは、開示の現状、ケーススタディ、支援イニシアティブの3つで構成されていました。今回は、さらに3つのセクションが追加されているのです。ここから、TCFDが話さずには終われないこと、すなわち、最も伝えたい内容が読み取れます。また、それは、TCFDの設定の背景や提言の趣旨に照らせば、至極当然の帰結です。さらには、ISSB基準に基づく開示の実務対応にあたって、TCFDレポートでは触れらていない点もあります。

そこで今回の特別記事では、TCFDの最後のレポートについて、最も伝えたい内容や触れらていない点を共有していきましょう。この内容を知っているか知らないかで、財務報告におけるサステナビリティ開示への対応も変わります。本質をついた対応を望むなら、サブスクリプション・サービスにログインのうえ、読み進めてください。

 

サイバーセキュリティに関するサステナビリティ開示の留意事項前のページ

サステナビリティ開示とKAMとの関係次のページ

関連記事

  1. FSFD

    気候変動の「戦略」開示は、財務諸表にインパクトをもたらす

    TCFD開示で難易度が高いものの一つに、シナリオ分析があります。TC…

  2. FSFD

    リスク軽減活動がサステナビリティ関連リスクの識別に与える影響

    サステナビリティ開示において、最も難しい課題の一つは将来の不確実性を…

  3. FSFD

    ガバナンスの図に、これを足し忘れていませんか

    今後の展開を考えるなら、2023年3月期の有価証券報告書におけるサス…

  4. FSFD

    気候変動が財務報告制度に組み込まれるまでの座組

    ISSBによるIFRSサステナビリティ開示基準を的確に理解するために…

  5. FSFD

    2023年公表の「気候会計・監査ハイブリッド評価」

    企業による気候関連の開示状況は、評価されています。しかも、その企業の…

  6. FSFD

    SSBJ基準の「二重アプローチ」と今後の対応策

    サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の審議は、3つのサステナビリテ…

  1. Accounting

    投資家との対話を促すダイアログ・ディスクロージャー
  2. Accounting

    あなたに内部統制に関するプレゼントを
  3. Accounting

    孤独な経営者には会計士を
  4. FSFD

    見逃せない!サステナビリティ情報開示の4ステップとは
  5. Accounting

    『リースの数だけ駆け抜けて』第12話「誤解の連鎖」
PAGE TOP