Accounting

内部監査担当者が辿り着いた「会計不正リスク対応セミナー」物語

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

私は、朝のオフィスがいちばん好きだ。誰もいないフロアに早めに入り、カーテン越しに淡い光を感じながら、コーヒーを入れてデスクに座る。38歳という年齢を迎えてから、こうして早朝に静かな時間を確保するのが習慣になった。社内では内部監査の中核としてプロジェクトの進行を補佐しながら、経営層への報告や監査手法の効率化に頭を悩ませる日々を送っている。

そんな私が今、最も気になっているのが売上の会計不正リスクだ。会社は製造販売業なので、売上計上や得意先との取引形態にさまざまなグレーゾーンが存在し得る。経理出身とはいえ、不正の兆候をどのように発見し、どう社内に提案すればよいのか、自信が持てない部分があった。

そこに届いたのが、「≪A4一枚のチャートを活用して整理する≫内部監査部門必見!実務で使える『会計不正リスク対応セミナー』」の案内だった。チラシの中に記載されていたキーワードに、私は思わず目を奪われた。

セミナーでは、この「業務プロセスの単純化モデル」を活用するという。売上計上、仕入計上、在庫計上などに至る業務プロセスについて、必要最小限の機能を抽出することで、不正が入り込みそうな“情報の転換点”が見えてくるというのだ。私がこれまでモヤモヤと感じていた「どこを見ればいいんだろう?」という疑問に答えてくれるかもしれない。実際、最近の取引先との複雑な販売契約に一抹の不安を抱えていたので、その仕組みを可視化できるならぜひ学びたいと思った。

昼休みに社内カフェテリアで内部監査担当の先輩に話すと、彼も同じセミナー案内を見て気になっていたらしい。

「『情報の転換点』を6つに特定できるっていうのは興味深いね。売上の不正リスクを整理するにはぴったりだと思う。ツールも充実してるみたいだから、受講して損はないんじゃない?」

先輩の言葉に後押しされる形で、私はセミナーの申込みを決意した。


セミナー当日、御徒町にあるセミナールームへ向かい、受付を済ませると、スライド枚数が100を超える分厚い資料一式を手渡された。目次を見てみると、「業務プロセスの単純化モデル」のほかに、「不正事例の解析シート」や「解析結果に基づく検証手続立案シート」についての詳しい解説があるようだ。

私が最も惹かれたのは、「不正事例の解析シート」と「解析結果に基づく検証手続立案シート」がセットになっている点だ。実際の業務で「どこを、どうチェックすればよいか」という具体的な手順が見えてくるらしい。

「これなら、会社で抱えている“売上の不自然な取引”をチェックする方法が体系立てられそうだわ」

そう思いつつセミナーに参加してみると、まずは講師の方が「業務プロセスの単純化モデル」の概念をわかりやすく解説してくれた。複雑に絡み合う売上計上の流れをシンプルに捉えることで、どこで“情報の転換”が起き、そこにどう不正が仕込まれる可能性があるのかが一目でわかるようになっているのだ。

続いて、不正の実例を分析するための「不正事例の解析シート」の書き込み方を説明してもらう。ここでは「情報の転換点」に着目しながら、実例のどこで不正が入り込んだか、どんな兆候を見逃したかが、自然と整理できる仕組みになっていた。

さらに、「解析結果に基づく検証手続立案シート」では、たとえば販売取引における「売上計上の時期が恣意的にずらされていないか」などを具体的に洗い出し、どういう書類をチェックするかまで落とし込んでいくことができる。

セミナーでは、「ひとりワークショップ」の時間があったので、私は気になっていた販売取引を想定しながら、このシートに書き込んでみた。「情報の転換点」に着目すると、今まで漠然と抱いていた不安が具体的な監査チェック項目へと変わっていくのがはっきりと分かった。

「やっぱり、こうした整理されたフレームワークがあると、私のような現場担当者でも不正の兆候を早めに見抜きやすくなるんだな……」

自分でも驚くほど、視界がクリアになった。セミナーが終わったときには、ツールを手に入れただけでなく、自分が明日から何をすべきかが明確にイメージできていた。


翌週、私は社内の会議で、不自然に感じていた販売取引について調査を提案した。セミナーで学んだ「業務プロセスの単純化モデル」を踏まえ、上司にポイントをかいつまんで説明する。何が「情報の転換点」で、どこに不正が生じやすいのか、そして「不正事例の解析シート」や「解析結果に基づく検証手続立案シート」を使うメリットまで整理して提示すると、上司はすぐに納得してくれた。

「なるほど、そこまで具体的にプランがあるならやってみよう。結果を楽しみにしてるよ。」

この言葉が私にはとても嬉しかった。やはり、しっかりと裏付けとなるフレームワークやシートがあれば、経営層への説得力は格段に増す。これなら現場でもスピーディに動けるだろう。

私自身、まだまだ勉強中の身だけれど、こうして「業務プロセスの単純化モデル」や「不正事例の解析シート」「解析結果に基づく検証手続立案シート」を学んだことで、不正リスクを“点”ではなく“線”や“面”として捉えられるようになった気がする。以前は漠然としていた“疑問”が、今は具体的な“対応策”へと変化しているのだ。

いつものように早朝のオフィスへ足を運び、ブラインド越しの朝日を浴びながらコーヒーを一口飲む。頭の中には、セミナーで学んだ新しい視点と、自分が果たすべき次のアクションがはっきりと描かれていた。私は、今日も一歩ずつ前に進んでいこうと心に決める。いつか後輩たちにも、この一連のフレームワークを伝えられるような存在になりたい――そう願いながら、私はモニターに向かい、そっとキーボードを叩き始めた。


 

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