FSFD

サステナビリティ情報の開示に求められる“編集力”という視点

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

サステナビリティ情報の開示が制度化されつつある今、最も注意すべき点は何か。ひとことで言えば、それは「誰に向けて書いているのか」を明確にすること。この一点に尽きると言っても過言ではないでしょう。想定読者を見誤ると、せっかくの開示も空振りになってしまいますからね。

かつて「環境報告書」や「CSR報告書」と呼ばれていた時代には、企業が想定していた読者は実に幅広いものでした。あるいは、そもそも想定などしていなかったケースもあったでしょう。そうした報告書が「企業のPRでしょ」と揶揄されたのも、ある意味では当然の帰結でした。なにせ、Public Relationsの名の通り、多様なステークホルダーに向けて広くアピールする内容だったわけですから。ただし、その内容が環境や社会への配慮をアピールすることに重点が置かれたため、「これって企業の宣伝では?」と批判されることもありました。

もし、今なお、その延長線上の開示を行っている企業があるとすれば、少々黄色信号かもしれません。なぜなら、ISSBやSSBJといった組織が定める開示基準は、これまでのスタイルとは一線を画しているからです。いわば「古い靴で新しい道を歩こうとしている」ようなものです。それでは靴擦れどころか、目的地にもたどり着けませんよ。

 

『リースの数だけ駆け抜けて』第18話「最悪の事態」前のページ

『リースの数だけ駆け抜けて』第19話「守るべきもの」次のページ

関連記事

  1. FSFD

    グリーンウォッシュ見抜く開示提案、企業の透明性が問われる

    財務諸表において、投資家を守るための気候関連開示の強化策が提案されて…

  2. FSFD

    初開催の「気候会計・監査ハイブリッド評価」セミナー

    もしかすると、これが日本初の開催となったセミナーかもしれません。その…

  3. FSFD

    財務諸表の気候リスクの透明化を図る、IASB会計基準の新設例

    IASBの気候関連のプロジェクトから、会計基準の設例に関する公開草案…

  4. FSFD

    企業買収がサステナビリティ開示に及ぼす影響

    企業買収が行われると、会計処理や注記が必要となります。これまでの財務…

  5. FSFD

    3時間セミナーの開催「サステナビリティ開示の最前線」

    サステナビリティ開示に最も必要なことは、開示するための活動です。サス…

  6. FSFD

    反対票が投じられた企業の「気候会計・監査ハイブリッド評価」対応

    英国FTSE100銘柄の企業の中には、2021年12月期の株主総会で…

  1. Accounting

    財務報告の流儀 Vol.035 オリックス、あずさ
  2. FSFD

    気候変動の「戦略」開示は、財務諸表にインパクトをもたらす
  3. Accounting

    5社目のKAM強制適用事例のキー・オブ・キー仮定
  4. FSFD

    TCFDのファイナル・レポートに触れていないこと
  5. FSFD

    気候関連の報酬は開示できるものなのか
PAGE TOP