FSFD

バリューチェーンとリスク・機会識別の「逆転パラドックス」

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

ISSBおよびSSBJが定めるサステナビリティ開示基準は、「企業の見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会」の開示を企業に求めています。その根底には、マテリアリティの概念があるのは言うまでもありませんが、実はこの基準、もう一つ重大な視点を企業に求めています。それが、バリューチェーン全体を視野に入れたリスク評価です。

しかし、ここに興味深いパラドックスが潜んでいます。開示基準が定める「リスク・機会の定義」と「識別の手順」との間に、一見すると順序の逆転が見られるのです。基準に忠実に従おうとする企業や監査人にとって、この構造的不整合は混乱を招きかねません。ところが、この逆転構造こそが、開示制度の巧妙な設計思想を物語っているのですよ。

本稿では、この一見矛盾した構造の真意を読み解きながら、開示戦略の本質的価値を再考してみましょう。

 

シングル・マテリアリティという名の罠:ISSB・SSBJ基準に隠された二重構造の真実前のページ

後発事象の基準案への決起大会次のページ

関連記事

  1. FSFD

    グリーンウォッシュ見抜く開示提案、企業の透明性が問われる

    財務諸表において、投資家を守るための気候関連開示の強化策が提案されて…

  2. FSFD

    財務諸表監査に気候リスク、日本の監査業界を揺るがす新潮流

    今、日本の監査業界で静かな動きがあります。それは、気候変動の影響を考…

  3. FSFD

    コネクティビティは義務になった——2026年、日本の企業報告が構造的に変わった日

     2026年2月20日、日本の財務報告制度は決定的な転換を遂…

  4. FSFD

    ISSB基準の修正議論、グローバルの変化を先取りせよ

    ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)による開示基準を修正する議…

  5. FSFD

    SASBスタンダードは「延命」か「刷新」か

    2025年3月19日、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の第50…

  1. FSFD

    反対票が投じられた企業の「気候会計・監査ハイブリッド評価」対応
  2. Accounting

    「問いかける監査」という制度思想
  3. Accounting

    倍々ゲームで増えていくKAM強制適用事例
  4. Accounting

    サステナCOSOは、まだか
  5. FSFD

    対応実務の一歩を踏み出す、ISSB基準の解説セミナー
PAGE TOP