FSFD

GICS義務撤廃がもたらす開示制度の静かな革命——形式の終焉と実質の時代

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

2025年9月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、IFRS S2号「気候関連開示」において、ある意味では驚くべき、ある意味では必然的な方向転換を決定しました。これまで、商業銀行または保険を行う企業がファイナンスド・エミッション(スコープ3カテゴリー15)を産業別に開示する際、これまで義務とされてきたGICS(世界産業分類基準)の使用を、必須ではなくしたのです。

この決定は、ISSBが長らく依拠してきた「比較可能性」という概念そのものを、根底から問い直す動きなのですよ。統一的な分類体系のもとで得られる形式的な整合性よりも、投資家が実際に気候関連リスクを理解し、意思決定に活かせる情報の有用性を重視する方向へと、基準の重心が移ったことを意味するのですから。

言い換えれば、ISSBは「比較しやすい」ことと「理解しやすい」ことの両立を、新たな形で模索し始めたわけですね。これは、サステナビリティ開示制度が成熟期に入ったことを告げる、静かな革命といえるでしょう。

 

IFRS S2号修正の本質:カテゴリー15をめぐる「矛盾の解消」と「選択的救済による整合化」前のページ

2025年、サステナビリティ関連財務開示が“制度対応”から“経営戦略”へ次のページ

関連記事

  1. FSFD

    トップの「本気度」が未来を変える──サステナビリティ開示が問う企業価値の真実

    2025年4月24日、IFRS財団が主催する「サステナビリティ開示に…

  2. FSFD

    SSBJ気候基準案:報告期間と地球温暖化係数の整合性

    SSBJ基準の最終化に向けた審議が、良くない方向に進んでいます。…

  3. FSFD

    IFRS S2・SSBJ・ISSB導入支援が交錯した一年と、12月8日セミナーの3時間

    2025年は、上場企業のサステナビリティ開示責任者・担当者にとって、…

  4. FSFD

    ISSB産業別ガイダンスが仕掛ける「選択という名の義務」

    2025年7月、IFRS財団が公表した「ISSB産業別ガイダンス」の…

  5. FSFD

    2025年、サステナビリティ関連財務開示が“制度対応”から“経営戦略”へ

     未翻訳のISSB導入支援情報を読み解き、制度変化を「先手対…

  1. Accounting

    有報の役員報酬の開示はストーリーを語れ
  2. Accounting

    内部統制報告制度をアップデートせよ! J-SOX 2.0
  3. Accounting

    KAMと顧客インタビュー
  4. FSFD

    初開催の「気候会計・監査ハイブリッド評価」セミナー
  5. Accounting

    たちまち英語ができて、法律もわかるかも
PAGE TOP