Business model

ソムリエから学ぶストーリー

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

 今日は、新宿にお買い物。そこで、ビジネスの大事なことを学びました。

 まずは、家電量販店。そこで、ケーブル類やプリンターのインクなどを購入。予定していた買い物リストを無事、コンプリート。

 次に、専門小売店に立ち寄ります。いつも使っているノートが先日、見に来たときには品切れ。セミナーや執筆のアイデアや構成を考えるのに重宝していたもの。これがなくなると、困ります。

 そこで今日、見てみたら、棚からタグまでなくなっていました。もしや取扱い中止。この記事を書きながら調べてみたら、他の店舗で扱っているとのこと。良かった、良かった。

 その流れからの、百貨店。地下の食料品売り場で食材やフードを調達した後に、お酒売り場へ。ちょうど、その売場にカミさんが顔なじみのソムリエが来ていたことから、試飲しながらワインの説明を聞いていました。

 

 すごいですね~、このソムリエさん。お相手してくれたのは、まだ20代のかた。お若いのに、説明が上手なんです。

 イタリアのレストランでは、玉子と調味料がでてきて、お客さんが玉子を潰しながら自分の好みで調味料を混ぜてタルタルソースのようなものを作ります。それを生ハムなどで巻いて食べるそうで。そのときに、このワインが合うのです。

 な~んて説明されて試飲しているのに加えて、そのワインが美味しいときたら、もう購入決定でしょ。彼の説明の100万分の1も再現できていないので伝わりにくいかもしれませんが、なんとなくでも伝わると嬉しい。

 

 で、このソムリエさんの説明でポイントとなるのは、食のイメージをありありと表現していること。単に情報だけを伝えるのではなく、ストーリーも加えているのです。産地や葡萄の品種などの情報だけひたすら伝えられても、そこに臨場感を抱ける人は少ない。それができればソムリエになれるでしょう。

 そんな情報にとどまらずに、イタリアのタルタルソースっぽい玉子料理をまるで目の前に出されているかのようにストーリーを語っているのがポイント。それを巻いた生ハムが口に入った感覚にまでさせるほど。

 

 これは、ジャパネットたかた元社長の髙田明サンが使っているテクニックそのもの。スペックだけで終始するのではなく、お客さんのベネフィットまで伝えているのです。20代でこの域に達しているのがすごい。

 そのソムリエさんは、ワインの展示会で別のソムリエからも一目置かれる存在だとか。道理で、お客さんを巻き込むのが上手いワケで。結局、3本、購入しちゃいました。

 こうした巻き込み力は、ソムリエだけに求められるものではありません。あなたのビジネスでも必要。いくら良いものを扱っていても、その魅力を伝えなければ、お客さんは買ってくれないからです。 

 これに関連する話で思い出すのは、「すごいビール」のこと。ワクワクマーケティングで有名な小阪裕司サンが、書籍『「感性」のマーケティング: 心と行動を読み解き、顧客をつかむ』(PHP研究所)でこんな話を紹介しています。 

 ある居酒屋さんで、お客さんが来なくて困っていたときこと。メニューの1ページを使って、「すごいビール」について解説したといいます。そのページに記載されているのは、泡を出す手間のことやビールメーカーの研修を受けていること、ビールサーバーを毎日洗っていることなど。うちのビールの泡が、そうした日々の管理と洗浄の証拠だといいます。

 しかも、飲み終わった後に、ビールグラスの底に「エンジェルリング」(天使の輪)ができると畳み掛けます。そんなことを言われたら、ビールを飲み干してグラスの底を確認したい気持ちに駆られます。もう、注文決定でしょ。

 こうしてビールにまつわるストーリーを話すことによって、価値をお客さんに届けることに成功している例を挙げています。ビールの品名やアルコール度数といったスペックだけじゃ、他のお店が提供する情報と変わりません。つまり、お客さんにとって、そのお店で買う理由が見いだせない。そこに、あなたがストーリーを語ることで、お客さんに興味を抱かせるのです。

 あなたもビジネスでストーリーの力を使うなら、お客さんが今より熱狂してくれるハズ。そう、ボクが10分もしないうちに、ワインを3本買ったように。

 

P.S.
 ストーリーを含むマーケティングは、ビジネスモデル・キャンバスでは「チャネル」に相当すると理解しています。この本では、その事例が学べます。
・小阪裕司『「感性」のマーケティング: 心と行動を読み解き、顧客をつかむ』

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