Business model

KAMセミナーとサロン型ビジネス

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

暖かい関係性は、やっぱりいい。最近、感じるのは、ビジネスモデルでいうところの「カスタマーリレーションシップ」、つまり、顧客との関係性の重要性。今日は、KAM(監査上の主要な検討事項)のセミナーでそれを痛感しました。

 今日、2018年12月14日に、会計監査の監査報告書で新しく記載が求められるKAMについてのセミナーを開催しました。そのタイトルは「上場企業へのKAMインパクト」。だから、会計監査のテーマではあるものの、セミナーの対象者は企業の方々。経理やCFO、監査役等といった方々にお越しいただきました。

 つまりは、ボクのような会計士にとって、会計監査でお会いしている人たち。今日は、ボクが所属している事務所が主催したセミナーだったので、現在や過去に会計監査でやりとりしていた方々も、沢山、いらっしゃいました。「こんにちは~」という方だったり、「ご無沙汰しております~」という方だったりと。

 嬉しいのは、現在、お付き合いしているお客さんだけでなく、以前に関与していたお客さんも、セミナーの前や後にご挨拶してくれること。特にセミナー前にお声がけいただけると、緊張がほぐれて、心が落ち着きます。サッカーでいう、ホーム状態。

 こうした顧客との関係は、ビジネスモデルのひとつの要素。カスタマーリレーションシップと呼ばれます。このことをわかりやすく説明したものに、中谷彰宏サンの著書『お金の不安がなくなる60の方法 一生モノの「稼ぎ力」をつけよう』があります。それによれば、ビジネスには、ショップ型とサロン型があるといいます。ボクの解釈では、次のとおり。

 ショップ型のビジネスは、お客さんと効率性で繋がっています。そこで提供している価値は、スピードや安さ、量など。提供側にとって、回転率を高めることが大事。お客さんも、対価と引き換えに、手っ取り早くそれらを得ることを目的としています。

 セミナーでいえば、講師は情報だけを提供し、受講者は情報だけ得られれば良いという関係。そこに挨拶に行く、挨拶をされるといったアクションは、別になくても支障がない。つまりは、不効率なもの。

 それに対して、サロン型のビジネスは、お客さんと学びで繋がっているといいます。提供側は徹底した世界観を提供します。お客さんは、それに対して代金だけではなく、感謝やリスペクトを返します。それを受けて、提供側は、お客さんに喜んでもらえたという満足感と充足感を得るのです。こうして、学びが共有されていきます。

 もちろん、セミナーでも、然るべき情報は提供する必要があります。ただ、それだけだとお客さんとの関係は、代金と情報との交換で終わってしまいます。

 しかし、そこにリスペクトの関係が築かれているなら、「お久しぶりですね~」「いや~、竹村さんが講師だから来ましたよ」という会話が生まれます。セミナーが終わった後にも、「勉強になりました」「また相談させてください」といった会話になります。

 もしかすると、お客さんが、大人の対応をしてくれただけなのかもしれません。社会人としての振舞いを見せてくれたにすぎない可能性もあります。たとえそうであっても、関係性によっては、そんな振舞いさえ見せないハズ。情報だけ、資料だけを受け取れば、とっとと帰るという関係性。

 幸い、今日のKAMセミナーでは、お客さんに恵まれたため、心がぽかぽかする関係性に気づかせていただきました。せっかくビジネスを通して交流するのだから、提供するものをお金と交換して終わるのは、ちょっと寂しい。やっぱり、ボクが目指すビジネスモデルのカスタマーリレーションシップは、サロン型だな。

 

P.S.
 最初、タイトルを見て買うのを躊躇したのですが、ショップ型、サロン型のくだりを見た瞬間にレジに走っていました。カスタマーリレーションシップを学ぶのに最適です。
・中谷彰宏『お金の不安がなくなる60の方法 一生モノの「稼ぎ力」をつけよう』(現代書林)

 

P.P.S.

日本におけるKAM早期適用事例の分析について、当ブログでは「財務報告の流儀」というシリーズ投稿で解説しています。ただ、ワンコインの有料コンテンツとして提供しているため、「お試し版」をこちらで用意しています。

 

P.P.P.S.

2020年3月期に早期適用されたKAMについて分析した結果は、拙著『事例からみるKAMのポイントと実務解説』にてご覧いただけます。まずは、こちらの紹介ページをご確認ください。

 

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