キャリアで悩んでいるなら、人に話を聞いてもらった方がいい。
先日、職業選択で悩んでいる男性がいました。知人の紹介で初めて会った方。これまでの仕事の経歴を伺う中で、若い頃に夢中になっていた趣味の話になりました。なんでも、ある分野の小説を書いていたそうで、受賞経験もあり。
文字を読むことも書くことも、まったく気にならない。これは、ひとつの才能。文字を読むことが苦手な人もいれば、文章を書くことが嫌いな人は沢山います。しかし、彼は、それが平気。
本人も、それが才能だとは気づいています。しかし、プロのレベルじゃないと、諦めているのです。だからといって、その才能に蓋をするのは、あまりにもモッタイナイ。そこで、思わず、こう叫んじゃいました。
「今の職歴を題材にして、小説を書けばいいじゃない!」
ご本人も、そんな選択肢は考えたこともなかったようで、かなり驚いています。あくまでも趣味に留めるものだと思いこんでいたため、その指摘に目を白黒させています。
ただ、「今のレベルじゃ生活していけない」と即答が。この発想、キャリアで悩んでいる人にありがち。ゼロか100か、両極で考えてしまうのです。例えば、すぐに会社を辞めてしまうとか、いきなり100万部のベストセラーを書くとか。
何も、そこまで大幅に環境を変えることが必ずしも必要ではない。小説なら、まずは短編を書いてSNSで発信して感触を探ってみる方法があります。池井戸潤サンのような大ベストセラーを出している作家に、今すぐ競争を挑む必要はないのです。
同じように、もしセミナー講師をしたいなら、最初から何十人、何百人を集めた状況を想定しなくてもいい。3人でも集まるなら、どんどんと開催して実績を積むことが大事。その中で磨かれていくものがあります。ノウハウもコンテンツも溜まっていきます。すると、もっと幅が広がります。
このように、小さく少しずつ始めていく選択肢だってあるのです。これ、意外と忘れがちな点。だから、好きなことと得意なこととを組み合わせて、とにかく動き出すべし。
動き出すことが何かにまだ気づけていないなら、誰かに話を聞いてもらうと良い。そのように冒頭でお話ししました。とはいっても、話を聞いてくれるなら誰でも良いってワケでもない。そうですね、例えば、次の3つを兼ね備えた人はいかがでしょうか。
1つ目は、会話の中から、あなたのリソースが何かを引き出してくれること。これができなきゃ、単なる世間話で終わってしまいます。いわゆる才能を見出してくれる人が良い。
2つ目は、そのリソースを別のリソースや活動と組み合わせてくれること。複数のものをミックスすることで、他の誰でもない、あなたの独自性が発揮できるから。単発勝負だと競合が大勢いるところ、ありえない組み合わせによってエッジが効いてきます。
3つ目は、その何かを始めることを後押しできる話し方ができること。最初の一歩を踏み出せるようになれるから。スタートを切らなければ、何も始まらない。昨日までと同じことをしていて、昨日までと違う成果を期待するほうが変。そんな新しいチャレンジをするために、そっと背中を押してくれると、スタートダッシュが切れます。
で、そのキャリアに悩んでいる彼と、知人と、ボクとで、新しいジャンルでの小説のネタで盛り上がります。お酒も入っていたためか、5本くらいのネタが出来上がります。ここまで来れば、あとは書くだけ。
最近、「成功」の反対語は何かと聞いたことがあります。それは、「失敗」でも「挫折」でもありません。「成功」の反対語は、「未完」。成功に至っていないだけ。まだ終わってはいないのです。
彼が書き出すなら、それは、これから成功していくことを意味します。もし、あなたもキャリアに悩んでいるなら、まだ何も終わっていないことに気づいてください。そう、未完なのですから。