Business model

ストーリーを語るときに不可欠なこと

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

ストーリー、語れちゃったりしますか。ビジネスの世界では、「ストーリーを語れ」とよく言われます。正直、この言葉、数年前のボクはあまりピンと来ていませんでした。

 だって、そもそもストーリー(物語)を語れなんて、「語る」ことが二重になっています。まるで、朝の朝刊みたいに。頭痛で頭が痛いとか、そういうの、気になるタイプ。

 また、何かを話すなら自然と物語になるので、一体、何を言っているんだろう、って感じで受け止めていました。ほら、話せば起承転結を意識するでしょうから、自然とストーリーになっているんじゃなかと勘違いしていたのです。

 しかし、それは大きな間違い。ストーリーって、そんなものじゃない。ただ、話せば良いというものではないのです。

 それを痛感するには、「ストーリー」ってものが何ぞや、というところを理解しなければならない。ストーリーが理解できていないと、その先の話が共有されないからです。ポイントは、視点がこちらか、あちらかのどちらにあるのか。

 視点がこちらにあるときには、そのストーリーは、自分が言いたいことをひたすら話し続けがち。聞き手がどう思おうとも知らず、とにかく言いたいことを言いまくる感じ。

 でも、こんな話、聞きたいと思いますか? 少なくともボクは聞きたくない。そんな自分話に付き合う暇はありません。

 一方、視点があちらにあるとき、つまり、聞き手の関心に寄り添ったときには、状況が変わります。聞き手が、何かを知りたがり、それはどうすればできるのかを知りたがり、さらに、今、何をすればよいのかを提供できると、それがストーリーになっていくのです。

 つまりは、ストーリーとは、相手の関心どおりに語ること。決して、こちらの言いたいことを適当に伝えることではないのです。視点は自分ではなく、相手。そこを踏み外してはいけないのです。

 実は、今日、プライベートでプレゼンをする機会がありました。そこでも、相手の関心に寄り添った話を展開したときに、プレゼン資料の表紙をみた瞬間に、相手は「ああ、ありがとうございます」と、こちらが相手の状況を汲んだことを理解してもらえたのです。

 ビジネスの用語でいえば、バリュープロボジションだったり、ジョブ理論だったり、あるいは、最近ではインサイトだったりと、いろんな言われ方があります。古くは、相手がどうしても売ってくれと言うものは何か、というところに行き着きます。

 結局は、昔から言っていることは同じ。いかに顧客に寄り添うか、ってこと。こちらが提供したい価値が最初ではなく、顧客が解消したい課題が先。その順番を間違ってはいけないのです。

 だから、ビジネスモデル・キャンバスでは、顧客セグメントから検討を始めます。これが個人のキャリアになると、途端にキーリソース、つまりは、才能から始めがち。でも、やはり、才能ではなく、顧客の課題解決が先に来るべき。

 才能からスタートすると、とんでもないデメリットが生じます。それは、才能を押し売りする状況に陥りやすいのです。自分の得意なこと、自分がやってきたことをどう活かすか、もっと言えば、どうマネタイズするかが先に来てしまうのです。そこには、顧客の課題を解決する発想はありません。それでは、自分本位。

 今日のプライベートでのプレゼンでも、そんな意識がなければ、自分本位の説得に走りかねません。ただ、ストーリーを語る意味を少しだけ理解していたため、聞き手本位で説明の仕方に注意を払いました。すると、それが通じたのか、相手の方も理解していただいたように受け止めました。

 ストーリーとは、相手を説得するのではなく、寄り添うこと。そのように理解すると、大きな間違いはしないでしょう。何はともあれ、相手に寄り添おう。詳細はその後で。

顧客視点のサステナビリティを忘れない前のページ

キャリア・セミナーで手にするもの次のページ

関連記事

  1. Business model

    遮ることができない耳への情報をビジネスに活かす

    音楽の力って、すごいですよね。そのせいか、夏になると音楽の特番が増え…

  2. Business model

    『いまこそ知りたいAIビジネス』から学ぶ

    AI。一時期に比べると、その盛り上がりが少し落ち着いてきた感もします…

  3. Business model

    KAMセミナーとサロン型ビジネス

    暖かい関係性は、やっぱりいい。最近、感じるのは、ビジネスモデルでいう…

  4. Business model

    フードフェスとカスタマーリレーションシップ

    フードフェスは、食のお祭り。せっかくなので、できるだけ多くの種類を食べ…

  5. Business model

    リクルートにも使えるマーケティング

    マーケティングと聞いて何を思い出しますか。人によっては統計やプレゼン…

  6. Business model

    ユーミンの成功は大量行動にあり

     今日は、2019年1月19日。松任谷由実サンの誕生日。そう、去年の…

  1. Accounting

    本は「はじめに」が9割
  2. Accounting

    ロシアとウクライナについての決算影響
  3. FSFD

    【緊急】ついに明らかになった、サステナビリティ開示の国内基準の適用範囲
  4. Accounting

    『「のれんの減損」の実務プロセス』の第6章を語る
  5. Accounting

    有報の記述情報を経営者視点で書く方法
PAGE TOP