あなたにとって、頼れる人とはどういう人でしょうか。過去に手助けしてくれた人がいたでしょうし、今現在、支えてくれている人もいるでしょう。あるいは、将来に頼りにしたい人もいらっしゃるかもしれません。
こうした頼りになる人のことを「キーパートナー」と呼びます。ビジネスモデルを描く定番中の定番になっている「ビジネスモデル・キャンバス」でも、9つの要素のうちの1つに取り上げられています。
キーパーソンと繋がることは、大事なこと。なぜなら、あなたのビジネスやキャリアを発展させてくれるからです。こうした人とのつながりは、「ネットワーク」という観点で整理されています。
半年ほど前に、ネットワークについて社会学的なアプローチで解説している本を読みました。それは、平野敦士カールさんによる『世界のトップスクールだけで教えられている 最強の人脈術』(KADOKAWA)です。1998年以降に急速に注目を浴びてきたネットワーク理論に触れて、ネットワークについて興味を持ち始めていました。
そのネットワーク理論を実務に適用していくにあたって、具体的にどうするかのやり方を知りたくなってきます。これについて、心理学的なアプローチで紹介しているのがメンタリストDAIGOさんによる『コミュ障でも5分で増やせる超人脈術』(マキノ出版)という本。今月、発売されているのを書店で見かけて、すぐに購入しました。
そうそう、ネットワークを解説した本は、なぜかタイトルが「人脈術」と謳っています。きっとネットワークとするよりも、広く手にとってもらえるからでしょう。反対にいえば、ネットワークの解説を知りたいなら、人脈術の本にあたれば良いというのは小さな気づきでした。
話を戻して、メンタリストDAIGOさんのこの本には、スーパーコネクター、いわゆるキーパーソンとつながるテクニックや友達の作り方、さらにはカリスマ的な魅力を手に入れるメソッドなどが紹介されています。
ボクがこの本で興味深かったのは、「トゥー・クエスチョン・テクニック」です。次の2つのシンプルな質問をスーパーコネクターに尋ねるというもの。
1.最近の出来事について尋ねる(ポジティブなことでもネガティブなことでも可)
2.「最近、どれくらい幸せですか?」と尋ねる
こうして、相手に答えやすい質問を投げかけることによって、気持ちよく話してもらいます。それが関係を作っていくと説明しています。この部分を読んで、「あっ、ワークショップでいつもやってるヤツだ」と納得。
ボクがファシリテーターを務めるワークショップ型のセミナーでは、「グッド・アンド・ニュー」というエクササイズをやることが多い。これは、24時間以内に起きた出来事を一人一人話し合っていくというもの。トゥー・クエスチョン・テクニックの1つ目そのもの。
なお、以前のブログ記事「行動を変える『グッド・アンド・ニュー』」で解説していますので、こちらもご参考ください。
グッド・アンド・ニューを行うときには、スピーク&リッスンという形式をとります。話す人は時間いっぱいにひたすら話し続けていく一方で、聞く人はただニコニコとその話を聞いていくのです。ほら、これは気持ちよく話してもらうための環境づくり。こうしたファシリテーションをよって、セミナー参加者の間で関係性が短時間で築けているのです。
1年ほど前、こんな話がありました。それは、関係のある監査法人の人たちを集めてワークショップ型のセミナーをしたときのこと。スピーカー&レッスンを組み込んで進めていきました。ボクはいつも通りのことなのに対して、こうしたファシリテーションを初めて受けた参加者がほとんど。
セミナーが終わった後の懇親会で、初めて参加されたベテラン会計士の方から「今日はすごい気持ちよかった。みんな静かに自分の話を聞いてくれるし、誰からも否定されることない」と笑顔で話してくれたのを覚えています。
振り返ってみると、ファシリテーターとは、セミナーに初めて参加する人たちを積極的に参加させ、かつ、円滑に話しができるようにしていくのが役目。つまり、参加者をつないでく役割を果たしているのです。
とすると、ファシリテーターがやっていることが、繋ぐという行為そのもの。ネットワークを実践しているのです。だから、ネットワークについて記載している人脈術系の本を読むと、ボクが普段、ワークショップ型のセミナーで行っているエクササイズや進行方法が説明されているというワケ。
なるほど、ファシリテーターはネットワークを作っているとの気づきを得ました。こういう切り口で考えたことがなかったので、結構新鮮な驚き。
というわけで、このメンタリストDAIGOさんのこの本には、ファシリテーションに参考になるテクニックがたくさん詰まっているため、ファシリテーターにオススメ。では今週は、この本に紹介されていた「アクティブ・リスニング」を意識的に使ってみようかな。