いや〜、危ない、危ない。ファシリテーターの道を踏み外すところでした。
というのも、昨日、実施してきたワークショップ型のセミナーでのこと。参加者のビフォーアフターを可視化することを試みようとしていました。
2ヶ月ほど前に、セミナーのやり方を解説している本に出会いました。小山竜央サンが書いた『パブリック・スピーキング 最強の教科書』(KADOKAWA)という本。惜しげもなくノウハウが紹介されている名著。
その中で、参加者にビフォーアフターを体験させるのが良いと説明されていました。何かができるようになったことを体験することによって、参加者は感動し、また、セミナー講師の話を信じ、さらに講師のファンになるからです。
で、ボクも、このビフォーアフターの手法をワークショップ型のセミナーに取り込もうと考えたのです。
まず、セミナーの最初の方で、現時点の不安度合いを点数化してもらいます。次に、セミナーの終わりの方で、その時点での不安度合いを点数化してもらう。すると、セミナーを受けたことのビフォーアフターを「見える化」できます。
これは良い手だと得意げになっていました。しかも、この結果を次の参加者に示すことで、ワークショップの成果も伝えやすくなります。これは、一石二鳥。
ひとつ気になっていたのは、このビフォーアフターを加えたことで、ワークショップの手順に重複感を覚えていました。ちょっと冗長な感じが否めない。
でも、せっかく付け加えたビフォーアフターなので、なくすのもモッタイナイ。このまま実行させたい。
このように、ビフォーアフターを行うかどうかで、開催ギリギリまで悩んでいました。そのとき、こんなことに気づきます。
「あれ、このビフォーアフターって、ボクがやりたいだけで、参加者のためになっているのか?」
そうなんです。参加者の成長を重視していなかったことに気づいたのです。単に新しい手法を試してみたかっただけ。自己満足に過ぎません。
そこで、セミナーを開始する直前に、関連したスライド3枚を削除。ああ、これでスッキリしました。そのスッキリ感を写したのが、このブログの写真。
何も、ビフォーアフターの手法が悪い訳じゃない。悪かったのは、ボクの使い方です。特に、自己満足の世界だったこと。参加者の成長に関係しないことをやってはダメ。
ファシリテーターとは、参加者の成長を促すのが役目。危うくファシリテーターの道を踏み外すところでした。
ビフォーアフターを削除した分だけ、参加者同士の対話の時間を増やすことができました。そのおかげか、4時間のワークショップにもかかわらず、皆さん、最後まで集中を切らさずにワークに取り組んでいただけました。
何事も、本来の役割を見失ってはいけません。そんな基本的なことを再確認。よし、明日は、2回目のワークショップ。全力で取り組みます。