Career

執筆やセミナーで「悪役」にすべきは

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

 必要な情報は、必要なタイミングでやってくる。引き寄せているのかどうかはわりませんが、そんな状況を経験することがあります。今朝も、そう。購読しているメルマガで、必要としている情報に巡り会えたのです。

 昨日のブログ「こだわるべきはツールじゃない、ゴールだ」で、とある報告資料の全体構成を見直しているとお話ししました。そろそろ構想のフェーズを卒業して、実際に取り掛かるフェーズに進んだほうが良いという話。とはいえ、少し心残りがあったのは事実。

 その心残りとは、悪役の設定。以前からボクが取り組んでいるのが、映画の脚本術を執筆やセミナーに活用すること。ハリウッド映画が観客の心を惹きつけるように、本の読者やセミナーの受講者の心を惹きつけたいと考えていたから。

 ただ、映画のストーリーとは、文字通り、物語。その物語を動かしていくには、キャラクターが必要。主人公はもちろんのこと、悪役もいれば導き役もいます。このうち悪役の設定の仕方が、今まで腑に落ちていなかったのです。

 映画の脚本術に基づくと、本やセミナーにおける主人公とは、読者や受講者。著者や講師ではありません。筆者や講師はむしろ導き役であって、決して主人公だと勘違いしてはいけない。

 これについて、プレゼンテーションの制作・デザインを専門とするエージェンシーであるナンシー・デュアルテ氏は、名著『ザ・プレゼンテーション』(ダイヤモンド社)の中で、スターウォーズのキャラクターに例えます。ルーク・スカイウォーカーはプレゼンを聞いている人であって、それを伝えている人はヨーダなんだと。 

 これは立場を変えると、当たり前のこと。あなたが本を読んだり、セミナーを受けたりする場合に、著者や講師が主役となって「俺が、俺が」と話しまくる内容に付き合いたいとは思わないでしょ。自分が好きなアイドルやビジネスパーソンじゃなければ、聞く耳を持たないハズ。だから、主人公は、読者や受講者でなければならない。

 そこまでは理解でき、また、実践してはいたものの、悪役キャラクターの設定だけは謎のまま。もちろん、映画の脚本術をビジネスに活用した方法論を説く書籍は、かなり調べまくりました。しかし、ズバリと説明したものにはお目にかかれていない。そんな長年の謎が、今朝のメルマガをきっかけにして、一気に解決したのです。

 

 そのメルマガとは、ダイレクト出版さんのもの。以前に発刊した本を紹介していました。その本とは、『ストーリーブランド戦略』(ダイレクト出版)。企業が効果的に情報発信できるように導いているドナルド・ミラー氏によるもの。

 この本がなぜか気になったため、本棚から取り出します。パラパラとページをめくってみると、「悪役」の文字が目に飛び込む。慌てて該当箇所に行くと、問題の焦点を明らかにするために悪役を利用せよ、と解説しているのです。

「そうそう、そこなんだよ」と思いながらページを進めていくと、こんな文章に辿り着きます。

 

悪役は人である必要はないが、擬人化できる特徴は必要だ。たとえば、時間管理のソフトウェアを販売しているなら、「気を散らす娯楽」を悪役にしてはどうだろう。

 

 これは、明快な説明。長年の謎が解けました。ボクが悩んでいたのは、悪役のキャラクターは人であるべしという固定観念に囚われていたから。物語ならキャラクターを生み出しようがありますが、本やセミナーでは人物としての悪役を設定しにくい。特にボクが扱っている会計では、なおさらのこと。

 しかし、人ではなく、問題点で良いのなら、悩む必要はありません。ボクもこれまでの執筆やセミナーでは、問題があることを指摘しています。むしろ、そこを重視しているといっても良い。ということは、すでに対応していたのですね。こうして言語化できると、より明確な意図をもって、執筆やセミナーに活かすことができます。

 

 それにしても不思議なのは、この本は以前にも読んでいるにもかかわらず、この箇所について記憶が残っていないのです。何も、大昔に読んだワケではありません。2018年4月に発行されているため、1年経っているかどうか。興味深い現象です。

 この現象が意味しているのは、どんな問題意識でいるかによって、本やセミナーからキャッチできる情報が変わってくるということ。この本を読んだ当時の問題意識は、プレゼンの構成をどうするか。どんな順番で並べることが効果的なのかを調べていた頃。つまり、この本からキャッチしたい内容は、順番であって、悪役の設定ではなかったのです。だから、今日辿り着いた文章は、当時は重要だと脳が判断しなかったため、心にひっかからなかった。 

 

 ということで、あなたにオススメしたいのは、同じ本でも別の関心をもって読み返してみること。そのときどきで、問題意識は違う。なので、心にひっかかる箇所も変わってくる。もし違いがなければ、あなたが成長していない可能性がある。

 例えば、ボクが書いた本なども、あなたが成長しているなら受け取るメッセージも変わるハズ。ぜひ、読み返して、新しく気づいたことをSNSに書き込んでください。

こだわるべきはツールじゃない、ゴールだ前のページ

ブレイクダンサーがふいっと見る有価証券報告書次のページ

関連記事

  1. Career

    色仕掛けのセミナー資料

     今日の仕事帰りは、雨にあたりました。雨が降るような天気予報ではなか…

  2. Career

    ワークショップで親密感と受け入れられ感を増す仕掛け

    ワークショップ型セミナーで、ファシリテーターが務めるべきこと。それは…

  3. Career

    再現できる知識だけが、本物になる。

     学ぶという行為が、いつのまにか「正解を当てるゲーム」になっ…

  4. Career

    本の後ろの参考文献で喜ぶ

    発見しましたよ。ボクが、むか~しに書いた本が、最近発売された他の方の…

  5. Career

    作詞の手法の変化からの学び

    人生に一度はしてみたいこと。そのひとつに、広く大衆にリリースされる楽曲…

  6. Career

    高城剛トークライブから波動を学ぶ

     今日は、高城剛サンの単独トークライブに行ってきました。初めてご本人を…

  1. FSFD

    SSBJ基準が示す、ISSB基準を超える透明性
  2. Accounting

    KAMやメタバースが飛び出す不正対応セミナー
  3. Accounting

    研修で初の試みとその反応
  4. FSFD

    開かれた制度、固定される実務――WG報告書が内包する保証制度の逆説
  5. Accounting

    数字1桁の表記は、全角派か半角派か
PAGE TOP