Business model

お弁当の箱をアップデートせよ

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また、やってしまった。気をつけてはいるものの、つい、やってしまいます。

 今日もあれこれ、注意をしていたのに、どうしても避けられない。慎重にことを運んでいたにもかかわらず、やっぱりダメ。やはり、こちら側の努力だけでは限界があります。

 それは、お弁当の箱の形。特に改札に入る前に売っているお弁当は、どうして平たい形なのでしょうか。

 夕方、新大阪から東京に帰る際に、お弁当を買いました。まだ、改札口を抜ける前のこと。

 新幹線を使う人の多くは荷物を持っています。カバンだったり、キャリーバックだったり、お土産だったりと。何かしら手にしているでしょう。一人で手ぶらでいられる人は、ごく僅かでしょう。

 すると、少なくとも一方の手は、何かで使っている状態。そこにお弁当の箱を、しかも、平たい形のものを持たされるのです。袋に入っているため、とてもバランスが悪い。その状態で、一体、何が起きるか。

 まず、購入するときに、一方の手に持っている荷物を床に置くなり、足に挟むなりしなければ、財布を出してお会計ができない。ここで、荷物が汚れるんじゃないか、誰かに持っていかれないかと心配になります。

 それをクリアしても、次は、改札。只今の状態は、片手に最初からの荷物、もう片方には平たい形のお弁当。この状態で改札を通過しなければならない。荷物を持っている手で平たい形のお弁当も持たないと、切符を出せない。

 こうした結果、平たい形をしたお弁当は、縦になってしまう。どんなに気をつけていても、バランスを崩してしまいます。その瞬間、「あっ、やってしまった」と残念な気持ちになるのです。

 そんな気持ちになるのは、ボクだけではないハズ。お弁当を買った多くの人がそんな思いになっているのに、未だに、平たい形のまま。そろそろ、アップデートしたようが良い。

 ビジネスとは、顧客の快を増やすか、または、不快を減らすかの方向で価値を提供するもの。その意味では、お腹を空かしている人に対して、お弁当を提供することで、ビジネスとしての価値は成立しています。そこだけを見れば、ね。

 しかし、そのお弁当を買う人は、これから新幹線に乗ろうとしています。また、少なくとも片手には荷物を持っている。お弁当を渡したときには成立しかけた、快を増加、または、不快を減少させたとしても、改札口で不快を増してしまうのです。不快を解消した結果として、別の不快を生み出しているのです。

 それもこれも、お弁当の箱の形が平たいのが原因。ビジネスモデル的には、チャネルが悪いといえる。これは、お客さんに提供する価値を十分には届けられていないことを意味しています。だから、アップデートしたほうが良いのです。

 そこまで含めた価値提供を考えるなら、お弁当の箱の形を変えれば良い。平たい形だからこそ、荷物を持っている手で一緒に持つと縦になってしまう。お客さんがバランスを保つ努力が不可欠な状態。つまりは、負荷をかけているってこと。

 ならば、お弁当の箱を、縦型にすれば良い。また、縦型を前提とした複数の箱で構成されていても良い。例えば、メインのおかずの箱と、ご飯の箱に、プラスアルファの箱。

 ボクなら、同じ値段ではボリュームが多少少なくなったとしても、縦型を選びたい。他の荷物と一緒に持っても、大きな影響はないから。「あっ、やってしまった」という気持ちにならなくて済むなら、その方が良い。

 そんな世界にならないものかしら。特に新幹線が止まる駅の改札の外でお弁当を売っている業者の皆さん、どうか、ご検討くださいませ。

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