Accounting

リスクの粗さが重要な虚偽表示リスクに与える要因のひとつ

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ボクには、ライティングで絶滅させたいフレーズがあります。このフレーズが出来てくると、「うおーーーっ」と頭を抱えたくなるほどに、どうにかしたくなる。特に議事録の見出しによく出来くるフレーズ。

 それは、「~について」。もしくは、「~に関する件」。

 これ、日本でのKAM、つまりは、監査上の主要な検討事項の見出しに出来きそうで、嫌。例えば、「のれんについて」とか、「収益認識に関する件」とか。いかにも、ありそうじゃないですか。

 これらの何が嫌かというと、「~について」とや「~に関する件」という見出しは、何も示していないから。先の例では、のれんの何が論点なのか、収益認識の何が問題なのかが、ハッキリとしないのです。

 これ、企業サイドでも使われていますよね。取締役会の議題であったり、稟議書の見出しだったりと。そこで、「~について」や「~に関する件」などの見出しが使われているのと見ると、ボクはもうじっとしていられない。

 なぜなら、そんな見出しでは、それを承認する人がどんな行動を起こせばよいのかが理解できないから。実際、「のれんについて」や「収益認識に関する件」と言われても、何を想像すれば良いのかがわからない。すなわち、コミュニケーション・ギャップが生じるのです。

 例えば、のれんを取り上げるであれば、のれんについて減損損失を計上する議題もあれば、減損の兆候がないことの議題もあります。あるいは、割引前将来キャッシュ・フローの状況について説明する場合もあります。

 何をして欲しいのかがわからないままに、「~について」などと見出しを付けられても、読者としては、何もできない。言われるがままになってしまいます。読み手にとって、極めて不親切な表記なんです。

 これに対して、「棚卸資産の評価損の不計上」や「売上高の前倒し計上」などとKAMの見出しが記載されるとしたら、単に「~について」や「~に関する件」と表記するよりも、はるかに分かりやすい。

 こうした望ましい表記に至るためには、ある工夫が必要になります。それは、その項目をどうするか、についても記載するのです。「Aについて」と言われても、Aが良くなるのか、あるいは、悪くなるのかは判別できない。その見出しではなく、内容まで見に行かなければ、言わんとするメッセージが伝わらない。

 一方で、「棚卸資産の評価損の不計上」であったり、「売上高の前倒し計上」であったりと、勘定等に対して、どうなるか、どうするかまで言及するように務めると、外部の監査人としては理解がとても進みます。

 したがって、企業サイドとしても監査人サイドとしても、単なる「~について」や「~に関する件」などを廃止することを強くオススメします。それによって、コミュニケーションの水準が自然とアップしていくからです。

 KAMが導入される年度以降では、こうした表現ひとつをとっても、問題視されることがあるかもしれません。それは、企業サイドであっても、監査人サイドであっても。だから、ボクらにできることといえば、そうした言葉遣いを改めること。「伝えた」から良いという発想ではなく、「伝わる」ために何をすべきかにフォーカスする姿勢が評価されるべきです。

 というワケでボクは、KAMだろうが重要な虚偽表示リスクだろうが、リスクの粗さに関して是正していく活動をしていくつもり。これがKAMの情報価値を高める方策だと確信しています。そうでしょ。

P.S.

日本におけるKAM早期適用事例の分析について、当ブログでは「財務報告の流儀」というシリーズ投稿で解説しています。ただ、ワンコインの有料コンテンツとして提供しているため、「お試し版」をこちらで用意しています。

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