Accounting

内部監査を体感したバイトの夜

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

字面ではよくわからなかったことも、実際に体験してみるとよく理解できる。ボクは、学生の頃、内部監査について身をもって体感したことがあります。

 大学生の頃、会計士試験の受験勉強をする中で、「内部監査」という言葉に遭遇していました。テキストを読んで何となく理解していたつもりではいたものの、まだまだ腹落ちはしていませんでした。なにせ、見たことも聞いたこともない仕事。イメージも何もありません。

 こんなときに、ドラマの主人公が内部監査をしていたなら、一気に身近になりますよね。以前は、木村拓哉サンがそう。彼がドラマで演じた職業に人気が殺到します。ドラマが終わると、それを目指す人が増えました。

 ピアニスト、美容師、アイスホッケー、検察官、パイロットなど。どれも人気の職業となったものです。ドラマ「ロングバケーション」では、ピアノの演奏シーンに影響を受けて、ボクはクラシックのCDを何枚か買っちゃいましたよ。

 だから、内部監査も木村拓哉サンが演じていたなら、ボクは理解できていたハズ。でも、そんなドラマはなく、イメージが沸かないまま。

 そんなときに、内部監査のイメージを強烈に与えてくれた体験をしました。それは、バイト先での出来事。会計士試験の受験勉強をする傍ら、苦学生であったボクは、とある牛丼チェーンでバイトをしていました。できるだけ単価の良くするため、深夜の時間帯。

 そのバイトでは、休憩時間はお店の上にあった事務所で待機しています。まあ、深夜のため、学生が行けるような店は閉まっています。おとなしく事務所にいることになります。

 その事務所で時間をつぶせるものといえば、テレビ。バイトの先輩から、「このテレビ、好きな番組を見てて良いから。見終わったら、必ず消してね」と教わります。「はい、わかりました!」と返事をして、深夜番組をザッピングしていました。

 ここで、お店の制服を来た人が事務所に入ってきます。クリップボードを片手に、部屋の隅からチェックを始めます。バイトのシフトに入っている人ではないものの、このお店の制服を来た人だから問題ないだろうと、ボクはのんきにテレビを見続けます。

 やがて、クリップボードの人がボクのそばにやってきて、こう尋ねてきました。「テレビ、いつも見てるの?」と。

 ボクはテレビの件を先輩から教わっているため、何の疑問をもつことなく「はい」と返答します。その返事をクリップボードに書き留めて、彼は事務所を去っていきました。

 で、次のバイトのシフトが入っていた2日後に事務所を訪れると、テレビの画面には「業務に関係がない場合には使用しないこと」と注意書きが張り出されています。ボクのバイトの初日の返答が、この張り紙に繋がったことをすぐに理解しました。

 同時に理解したのが、「これが、内部監査か」と。バイトがテレビを見ていたことが指摘されたようで、その後、一切、視聴することができなくなりました。一夜で店舗のオペレーションに影響を与える力に、内部監査のすごさを思い知りましたよ。

 その後、会計士試験に合格して現場に出たときに、内部監査について話す局面で頭に浮かぶのは、あのときのバイトの夜のこと。と同時に、内部監査を受ける側の心境も身に沁みてわかるため、一方的にならないような内部監査の姿をお話ししているかも。

 というわけで、何事も体験。机に座っていないで、どんどん行動に起して身をもって感じる。ショパンのノクターンも、音楽の教科書だけで理解しようとするよりも、実際にCDで聴いたほうが百万倍も理解できますからね。ずっと動かないでいる「長い休み」は、もう終わりですよ。

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