その昔、文章を書くのが苦手の苦手でした。今も特別、上手な訳ではないものの、以前よりも書くことに抵抗がなくなっています。
今日も、人様の文章を添削する機会がありました。あまり文章を書き慣れていないため、いろいろと気づく点があります。わずか数行程度の段落の中にも、指摘することがいくつか出てきます。
例えば、「まず」と説明している内容に続き、並列した内容をつなぐときの接続詞が「また」だったのです。いやいや、そこは「次に」でしょ。短めの文章にもかかわらす、こうした作法ができていないため、もう、歯がゆいったらありゃしない。
ただ、昔は自分も同じだったなあと感じていました。ちょっとした文章を書くのにも四苦八苦。どう書けば良いかがわからなかったのです。すらすらと文章が書ける人は、ただただ尊敬していましたよ。
ところが今では、数ページの文章を苦もなく書けるようになっています。ボクが所属している事務所でも、それなりのボリュームの文章を大量にリリースしているほど。そのため、傍目から見ると、ボクがあのとき尊敬していた人のように映っているのかもしれません。
そう考えると、「あれ、いつから書くことに抵抗がなくなったのだろう」と疑問に思いました。あれほど何を書けば良いのかがわからなかったのに、どうして今は平気なのかと。
ひとつ、言えることは、書き方を主体的に学んだことが大きい。本を書き始めたのをきっかけに、もっとちゃんと文章を書けるようになりたいと強く感じたのです。単に伝えるにとどまるのではなく、より想いが伝わるように。
それ以来、文章術の本を読み漁り、教材も試し、講座も受けました。あっ、通常のライティングだけではなく、セールスレターも含めて。特に書籍については、当時の主だったライティング系の本は、ほぼ読みました。
すると、わかったのは、文章「術」というように、文章を書くための方法論やテクニックが存在する、ということ。裏を返せば、文章術を知らないがために何を書けばよいのかに悩んでしまうのです。やり方を知らずにやろうとすれば、できないのは当たり前。
ボクがオススメするのは、当時は弁護士で、現在は税法研究者となった木山泰嗣サンによる『弁護士が書いた究極の文章術―誤解なく読み手に伝える書き方のヒント28』(法学書院)。もう発売されてから10年も経つのですね。もしかしたら、『頭が10倍よく見える文章の書き方: 弁護士が書いた“伝わる”文章術』(三笠書房)だったかも。
先ほど挙げた「まず」というテクニック系でいえば、3つのことを並列するときには、「まず」と書いたら、「次に」と来て、「さらに」と続けます。仮に4つなら、「まず」「次に」「また」「さらに」とする。このTipsは、メッチャ役立っています。
付け加えれば、「第1に」と混在させないのもポイント。「第1に」と書いたら、「第2に」「第3に」と続けていくのです。数字系で攻めたら、数字で貫きとおす。こうしたテクニックを知らなければ、これらを混在させてしまいます。ボクが今日、添削していたのも、まさにこれ。
こうした文章術に関する方法論やテクニックは、本人が得たがっているときに出会うから、身につけることができます。本人が得ようとしていないときに伝えても、決して身につくことはありません。関係ないと思った瞬間に、脳はその情報を記憶しないから。だから、主体的に参加していないセミナーや研修で教えても、限界があります。
とすると、セミナーや研修では、それが自分に関係あると思わせることができれば、教えることを身につけてもらえるチャンスが増えますよね。脳がその情報が重要だと判断すれば、記憶するように機能しますから。で、どうやれば良いか。それはまた、別の話。