世の中には、2通りの人がいます。物事を最初に始める人と、2番目に取り組む人。
世間的には、物事を最初に始める人がもてはやされる風潮がありますね。ファーストペンギンと称されるとおり、新しい何かに挑戦する人がすごいと。例えば、料理でもそう。こんな食材を食べるなんて信じられないと思うものがあります。
例えば、とんでもない色をしたキノコ。誰もそのキノコを食べない中で、最初に口にした人がします。それによってお腹をこわした人もいれば、長い間、苦しむことになった人もいるでしょう。また、死に至った人もいたかもしれません。
いくら美味しいといっても、そんなひどい状態を目の当たりにすると、なかなかそれに続くことはできません。自分も同じような目に合うと思うと、嫌がるのは仕方がない。ファーストペンギンのような勇気や大胆さ、リスクをとる覚悟などは、そうそうに持ち合わせている人はいませんからね。
脚本家の三谷幸喜サンは、以前のエッセイで、同じような旨の話をしていたことがあります。いつの時代でも、アホな行動をとるヤツがいる。しかし、2番目に取り組む人がいるからこそ、その行動が今でも続くのです。
さきほどのキノコも、2番目に取り組む人がいたため、今でも食材として使われている。キノコに限らず、他の食材もそう。フグだって大変な思いをした最初の人がいても、2番目に続く人がいる。
ビジネスでも同じで、起業家は、通常の感覚ではやっていられないこともあります。そんなビジネスを始めても成功するワケがないと、周りから避難される。しかし、今となっては、とんでもなく大きなビジネスとなっている。10年前に、FacebookやTwitter、Instagram、LINEなどを予測できた人はどれほどいたかって話。
ところが、いくら起業して大きくしても、それに続く経営者がいなければ、そのビジネスは継続できません。2番目に取り組む経営者が、同じようにビジネスをできるかどうかはわからない。
ホラ、新しい経営者は前の経営者を否定しがちじゃないですか。そうしないと、自分の立場がないと考えるのかもしれません。そこで、まったく新しい取り組みを始めます。
もっとも、それが上手くいくケースもあります。また、その反対に、これまでのビジネスの良さを潰してしまうために、新旧のビジネスをともにダメにするケースもあります。
だから、物事を最初に始める人も、それに2番目に取り組む人も、どっちも大事だってこと。どちらも欠けてはいけない。もちろん、3番目に取り組む人も、4番目に取り組む人も、すべての人が必要です。そう、あなたもね。
起業家だとか、創業者だとか、2代目だとか、ベンチャーだとか、そういうの、どうでも良くないですか。お客さんの快を増やす、不快を減らすことさえしていれば、ビジネスは成立するのですから。