Career

あの人の取り組みに優しくなるために何をすべきか

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

社内での新しい取り組みを見て、あなたはどのような印象を持つでしょうか。隣の部署の人が、何かの改正を行い、また、その説明会を開いたとします。その内容はあなたの専門ではありません。このときに、どう感じるか。

 おそらくは、次の2つの反応に分かれるでしょう。

 ひとつは、「あっ、できたの」と当然のように感じる反応。それが仕事なんだから当たり前だと、その取り組みを何ら評価しない姿勢です。批判をするのも、こちらのほう。

 もうひとつは、「きっと苦労したよね」と労いの気持ちでいっぱいになる反応。その説明会に至るまでに、各方面と協議を重ね、また、調整を繰り返してきたハズ。ましてや、新型コロナウイルスの感染拡大によって、対面での会議もできない中では、慣れないリモートで議論を行ったでしょう。その苦労を称える姿勢です。

 ここで疑問が浮かびました。どうして、こうも反応が違うのかと。一体、何が違いをもたらすのかと。

 思うに、その取り組みの背景に想像がつくかどうかの違い。まったく想像できなければ、何も思い浮かべることができないから。

 例えば、宇宙に飛ぶロケットの操縦を想像できるでしょうか。何に注視して、何を操作し、どのような指示を飛ばすのか。ボクには何もわかりません。ロケット操縦の経験がまったくないがゆえに、その大変さがわからない。せいぜい、車の運転やアスリートのトレーニングのような、想像できる範囲でしか想像できない。

 だから、ある取り組みについて何かしらの想像がつくとしたら、その人がそれに近い状態を間近で見ていたか、あるいは、本人が経験したかのどちらか。疑似体験か実体験かの違いがあるにせよ、体感覚として思い出せるものがあるかどうかで決まるのです。

 想像がつくといえば、ボクにはこんな経験があります。それは、娘がまだ赤ん坊だった頃。冬の時期に手を布団から出して寝ていました。冷え切った手を温めようと、ボクの手で包んでいました。

 きっと、赤ん坊の娘は、なんだか手が温かくなって心地よく眠れたでしょう。でも、なぜ、そうなったかの原因は知らない。特に話していないため、今でも知らないハズ。

 そのときに気がついたんです。ボクにも、こうして知らないところでサポートしてくれている人がいることを。例えば、本を出したときにも、ボクに何も言うことなく、紹介してくれたり、誰かとつなごうとしてくれたり、異なるチャンスを提供してくれたりと。

 父親が娘の手をこっそりと温めていたように、誰かがあなたをこっそりとサポートしてくれているのです。それを知らないだけ。父親は寡黙ですからね。そう考えると、世の中がとても温かく見える。みんな優しいし、みんな微笑ましい。

 こうした機会を得たいなら、何かを提供する側に回ってみるのが良い。受けることしか経験がないと、わがままな客のようになってしまうから。やれ、あれがない、やれ、これが遅いと、好き勝手なことを話すだけ。

 ひとたび提供側に回ると、景色はがらりと変わる。提供に至る過程の経験によって、誰かの取り組みに優しくなれるのです。どんな小さなことでも良いので、物事を提供するようになりましょうよ。すやすやと眠る顔を見るのは楽しいですから。

職業的専門家としてキャッチアップか、先に行くか前のページ

「一杯、飲みに行く」が一杯で終わらない理由次のページ

関連記事

  1. Career

    星(スター)著者に願いを

    さあ、願いをいえ。どんな願いでも叶えてやろう。――これ、何か神秘的な力…

  2. Career

    話題に出してくれることに感謝

    世の中、ホント、狭いもので。先日、知り合いの会計士から、こう聞かれま…

  3. Career

    できる、できないの境界線の動かし方

    今日の夜、テレビを見ていたときに、取材を受けていた方がいました。その…

  4. Career

    ビジネスパーソンとの懇親会は、このタイプが好き

    懇親会には、2つのタイプがあります。友だち同士の懇親会ではなく、ビジ…

  5. Career

    重なった締め切りを乗り越える方法

    世の中の不思議なことのひとつに、締め切りが重なること。なぜか、そのタ…

  6. Career

    ファシリテーションのトリセツ

    今日は、ファシリテーターとして頑張りました。だって、昨年までボクが務…

  1. FSFD

    即時・強制適用前・強制適用後——SSBJが示す3つの時間軸対応戦略
  2. FSFD

    トップの「本気度」が未来を変える──サステナビリティ開示が問う企業価値の真実
  3. FSFD

    トーンダウンしたかのようなSSBJの審議
  4. Accounting

    誰にも見せられない、KAMの手元メモ
  5. FSFD

    欧州の規制当局が示す「2024年サステナビリティ報告」の重要ポイント
PAGE TOP