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「一杯、飲みに行く」が一杯で終わらない理由

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

「一杯、飲みに行こう!」

 そう呼びかけたり、呼びかけられたりすることがありました。新型コロナウイルスの影響で、まだ以前のように自由に飲みに行くのがはばかられる面もありますが、かつては普通に発していたセリフ。

 当時、このセリフの意味を議論したことがあります。なぜ、「一杯、飲みに行こう」と言いながら、一杯で終わることがないのか。おそらく、このセリフを話す人の多くは、二杯、三杯とお酒が進むかと思います。

 知人から聞いた話では、文字どおり「一杯」だけで終わる人もいたよーで。知人は「もっと話したい」と思っていたところ、相手が最初の一杯を飲み干したときに、「じゃ、出ようか」と言われたとのこと。

 あなたがこう言われたら、どう感じますか。特に嫌われている訳でもなく、フランクに付き合っている仲なのに、なんだか肩透かしというか、残念というか、物足りなさが残るのではないでしょうか。

 そう、この感情に「一杯、飲みに行こう」のセリフの意図を見いだせます。お酒を一杯だけ飲みに行くのが目的ではなく、コミュニケーションをすることが目的。相手を同じ時間を同じ場で過ごすことで、交流を深めたい。

 お酒は、口実。口実とはいえ、美味しいお酒は飲みたい。いや、お酒を美味しく飲むために、コミュニケーションが必要なんです。

 この結論には以前から達していました。今回、新型コロナウイルスの影響で、いまだ自由に飲みに行くことがはばかれる状況において、それを確信しました。 

 今年の3月くらいから脚光を浴びたのが、オンライン飲み会。リモート飲み会とも、Zoom飲みとも呼ばれます。いずれにせよ、対面ではなく、画面越しのコミュニケーションのこと。

 外に出られないときには、とても重宝する方法には違いありません。場所も問わないため、東京にいながら、大阪の知人ともコミュニケーションをとることができます。それは楽しくもあり、新しい発見でもありました。

 しかし、寂しさが残ります。空気感がないのです。デジタルで情報を流しているため、アナログの情報が切り捨てられているような。CDなら人の耳に聞こえない部分をカットしても大丈夫だと思っていても、それが感情的には大きな影響があったように。

 ファシリテーションのスキルでリアルタイムとの差をある程度埋めたとしても、完全には埋められない。その埋められない差が気になってしょうがない。だから、オンライン飲み会では、物足りなさを感じてしまうのです。

 少し小難しく言うのなら、バーバル・コミュニケーションよりもノンバーバル・コミュニケーションのほうが、情報的にリッチなのです。仕草や振舞い、空気感など、画面越しには伝わらない何かがある。

 そう考えると、人って寂しい生き物ですね。同じ空間で、同じ想いをしたい、話したい。早く、何も気にすることなく、飲み会が開催できることを祈っています。一緒に飲みたいですからね、あなたと。

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