文章をパターンで書く。穴埋め式のテンプレートで文章を作っていく。チャートを用いて文章を書いていく。
そんな文章術だと、同じような文章ばかりになると思っていませんか。誰が書いても同じで、個性がなくなると。
しかし、それは大きな勘違い。同じような記載になる文章術もあるかもしれませんが、そうではない文章術もあるのです。
「財務報告の流儀」はひとつのテンプレートで書かれた
ボクはこのブログで、「財務報告の流儀」というシリーズ投稿を行っています。KAM(監査上の主要な検討事項)の早期適用の事例から、財務報告のあり方を考えていくものです。ひとつひとつの事例から、学ぶべきポイントを2,3解説しています。
現在の投稿数は、28。解説した数は、全部で72。「学ぶべきポイント」だけの文字数は、112,490に至っています。1ヶ月程度で、ここまで執筆しました。
この72のポイント解説が、実は、ひとつのテンプレートによって作成したと聞いたら驚くでしょうか。すべてとは言いませんが、それでも9割程度はあるテンプレートに基づいて文章を作成しました。いや、そのテンプレートに基づいて執筆しようと決めていた、と言ったほうが正しい。
質問と並び替えで文章が作成できる
それは、中野巧サンによる『稼ぐ人の「超速」文章術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)で紹介された「超速!SNS文章作成ゲーム」という、とても簡単な文章術。ステップは、次の2つ。
- ステップ1:5つの質問に答える
- ステップ2:それを並び替えて、5つのパターンに落とし込む
ポイントは、どういう順番で言うかに着目していること。ここを仕組み化しているのであって、何を言うかはフリーハンド。だから、画一的な文章にはならないのです。
ボクの使い方は、ネタだしに近いかも。ステップ2でパターンを選んだら、それを見出しにして文章を書いていきます。そのとおりに書くこともあれば、順番が変わることもあります。また、手の動きに任せて執筆していった結果、選んだパターンとはまったく違う内容に変わっていることもあります。
でも、それで構いません。ゴールは、文章を書くこと。それが出来ていれば何も問題はないのです。おそらく、開発者の中野巧サンも同じ想いだと信じています。
こうしてテンプレートに当てはめて文章を作っても、その記載が画一的になることはなく、むしろ書き手の個性を指すことが可能です。決して他と同じような記載にはならない文章術があるのです。その証拠が、ボクのシリーズ投稿「財務報告の流儀」でもあるのです。
KAMに厳禁のボイラープレート
文章が画一的にならないことは、「財務報告の流儀」で分析対象としたKAMでも求められています。いわゆるボイラープレートにならないよう、監査に固有の内容を記載していく必要があります。
ボクが監査法人に所属していたときに、KAMを分析・実務展開していく専門組織の責任者を務めていたことから、KAMのテンプレートについて検討していました。どうやったら、紋切り型にならずに、個性の出せる文章を会計士が書けるかのメソッドを開発しようとしていました。
2020年7月になって、2020年3月期にKAMを早期適用した事例が出てきたため、ボイラープレート化しない観点からKAMの文章を検討し続けてきました。毎回、1社ごとに2,3のポイントをあげるほどに分析をしたのです。
ついに完成、KAMのテンプレート
分析対象としたKAMの中には、記載が優れた事例もあれば、そうではない事例もありました。これらを徹底的に要素分解した結果、ボクなりのKAMのテンプレートが完成したのです。
このテンプレートによれば、ボイラープレートに陥ることなく、監査チームの個性を出せる文章が作り出せます。実際、「財務報告の流儀」のある投稿では、それについて簡単に紹介もしています。KAMの文章に悩んでいる会計士にとって、役立つものだと自負しています。
ちょうど今、ボクは独立した身であるため、このテンプレートをどの監査法人にも教えることができます。どう書けば良いのか、どう個性を出せば良いのかに悩んでいる場合に、このKAMテンプレートを提供し、かつ、添削アドバイスまで提供ができるのです。
裏返せば、企業が有価証券報告書の記述情報の文章を作るときにも、応用できます。会計上の見積りの注記にも使えます。というより、このテンプレートの思考がわかっていないと、記述情報も注記も適切な内容で書けないでしょう。
その辺りも「財務報告の流儀」で説明していますので、というより、それがメインのため、ピンと来た方は、どうぞ、ご覧ください。すでに購読されている方もいらっしゃいますよ。
P.S.
日本におけるKAM早期適用事例の分析について、当ブログでは「財務報告の流儀」というシリーズ投稿で解説しています。ただ、ワンコインの有料コンテンツとして提供しているため、「お試し版」をこちらで用意しています。
P.P.S.
2020年3月期に早期適用されたKAMについて分析した『事例からみるKAMのポイントと実務解説』の内容は、こちらの紹介ページをご確認ください。