文豪ゲーテが開示責任者なら、財務報告の流儀を求めたことでしょう。「一つのことが万人にあてはまりはしない。めいめい自分にふさわしい流儀を求めよ」と話していたのだから。
そこで、KAM(監査上の主要な検討事項)を早期適用した事例から、財務報告のあり方について考えていく連載が、この「財務報告の流儀」シリーズ。今回は、次の事例を取り上げていきます。
(1)事例
証券コード 8750
会社名 第一生命ホールディングス㈱
業種 保険業
開示書類 有価証券報告書
決算日 2020年3月31日
監査法人 有限責任あずさ監査法人
会計方式 日本基準
(2)早期適用によるKAM
連結財務諸表に対するKAM
- 買収により計上したのれんの減損損失の計上に関する判断
- 買収等により計上した保有契約価値の償却又は損失の計上に関する判断
- 責任準備金の積み立ての十分性に関する判断
- 責任準備金対応債券の振替及び小区分の廃止に関する会計処理及び開示
- 繰延税金資産の回収可能性に関する判断
個別財務諸表に対するKAM
- 関係会社株式の減損損失の計上に関する判断
今回の事例から学ぶべきポイントは、次の5点です。
- 海外の会計基準の簡潔な説明があるKAM
- 特殊な項目を扱っているのにKAMがわかりやすい
- 保険業を知らない人でも理解できるKAM
- 記載パターンがあると読み手は内容を予測できる
- 事例の取扱いには十分な留意が必要
同社の有価証券報告書をご準備いただき、実際の開示を確認しながら、財務報告のあり方を学んでいきましょう。いかに財務報告を良くしていくかに真摯に向き合っている人だけ、この先にお進みください。(注:無料の「財務報告の流儀(お試し版)」はこちらから。)
P.S.
この解説がベースになった書籍『事例からみるKAMのポイントと実務解説―有価証券報告書の記載を充実させる取り組み―』(同文舘出版)はこちら。