こんにちは、KAM対応のスペシャリスト、竹村純也です。
機会があるたびに、企業がKAM(監査上の主要な検討事項)を上手に活用していくことを提案しています。それを一冊にまとめたものが、2020年6月に発売された『ダイアローグ・ディスクロージャー』(同文舘出版)。
昨日の2020年11月27日は、その本に込めたメッセージを存分に伝える機会を頂戴しました。それは、一般財団法人産業経理協会サン主催のセミナー「『ダイアローグ・ディスクロージャー』実践に向けた対応 ―KAM を利用した『経営者の有価証券報告書』へのパラダイムシフト―」です。
そこでの状況を簡単にシェアしますね。
当日のセミナー
最近はオンラインセミナーの収録や、無観客の配信が多かったところ、ひさしぶりにリアル会場。新型コロナウイルスの感染者が増える中で、換気やマスクなどの対策が行われたうえでセミナーが開催されました。途中で長めの休憩も挟んでいます。
講師のボクも、マスクをつけたままで説明。聞いた話によると、ある講師がマスクをして説明していたところ、酸欠状態になったために、一時中断する事態になったとか。幸い、ボクの場合は最後まで話し続けることができました。
今回のセミナーのメインは、ダイアローグ・ディスクロージャーの解説。ただし、そこで活用するKAMについての説明がサブとして位置づけられます。
時間も限られているため、あまりKAMの話で盛り上がりすぎてはいけません。それも考慮して、KAMについて話す時間もあらかじめ設定しておきました。
過小評価されずぎのKAM
しかし、KAMの話になると、伝えたいこと、理解してほしいことがどんどん溢れてきます。つい、セミナー資料に記載していないことも説明してしまいます。日本の事例や海外の事例について、とにかく理解してほしい気持ちでいっぱい。
というのも、今回のセミナー受講者とは関係なく一般論として、まだまだKAMの本当の凄さが理解されていないと感じるから。あまりにも過小評価されすぎているような感覚に囚われることがあります。
先日、ボクが友人にKAMによってガバナンスの状況が透けてみると夢中になって話したときのこと。その友人から、「ここ半年、いや、ここ一年で聞いた話で、一番、興味深い」との感想をもらいました。また、「この話は、財務報告の利用者こそ知っておくべきだ」とも。
確かに、そうなんです。これ、投資家やアナリストといった財務報告の利用者にとって、有意義な分析の仕方だから。やりかたによってはガバナンスの評価や格付けにも利用できますしね。
早期適用されたKAMの中には、深く、わかりやすく書かれた水準の高いものがありました。それは、監査法人の品質管理をはじめとした部署が関わっていたからと推測されます。
強制適用されたKAMの品質
しかし、強制適用となると、企業の数が多すぎるため、同じような体制でチェックできないことが容易に想像できます。もちろん、一部は同様の体制でチェックがかかるのでしょうが、圧倒的大多数はそうはいかない。
つまり、早期適用されたKAMとは水準が異なる状態が考えられるのです。これはまた、企業の開示につながらないリスクも抱えます。KAM導入によって期待された効果が得られないことになるため、誰にとってもアンハッピー。
だから、ボクはKAMやKAM協議の重要性を説いています。必要とあれば、馳せ参じます。オンライン対応も可能です。あなたと意見交換する機会があることを楽しみにしています。
P.S.
日本におけるKAM早期適用事例の分析について、当ブログでは「財務報告の流儀」というシリーズ投稿で解説しています。ただ、ワンコインの有料コンテンツとして提供しているため、「お試し版」をこちらで用意しています。
P.P.S.
2020年3月期に早期適用されたKAMについて分析した結果は、拙著『事例からみるKAMのポイントと実務解説』にてご覧いただけます。まずは、こちらの紹介ページをご確認ください。