もしも、KAMが監査法人だけの話と思っているなら、あなたはKAMの副次的な効果に驚くかもしれません。
その効果とは、企業の内部統制やリスクマネジメント、ガバナンスがどうなっているかが透けて見えること。そんな話について、今日の2021年5月25日、日本取締役協会にて講演する機会をいただきました。
新型コロナウイルスの感染対策として、講演はライブ配信。ボクは、自宅から参加しました。そこでの内容を少し共有しますね。
直近のKAM早期適用状況
今回の講演にあたって、2021年4月末までに登場したKAM早期適用事例について全体的な状況をまとめました。さすがに2021年5月に講演するため、直近の状況をお伝えしたいですからね。
そこで、拙著『事例からみるKAMのポイントと実務解説』をベースに、アップデートした情報を冒頭でお知らせしました。この本で取り上げた2020年3月期の上場企業に、それ以降の上場企業におけるKAM早期適用事例と、2019年12月期のそれとを加味しています。
2020年3月期の早期適用事例については、他でも統計データが紹介されているかと思いますが、それを更新したものはなかなかお見かけしません。そういう意味では貴重な資料かと。ただし、全体的な状況は、2020年3月期のトレンドから大きな違いは生じていないため、本講演では、さらりとした紹介でおしまい。
3つの観点から事例をピックアップ
今回の講演のテーマが、KAMだけではなく、内部統制、リスクマネジメント、ガバナンスにまたがっているため、それぞれに関連したKAM早期適用事例をいくつかピックアップしました。
KAM事例のうち新しいものだと、2020年12月期の事例も含めています。また、KAMのみならず、関連する企業の開示も紹介しています。そのため、講演としての持ち時間60分に対して、パワーポイントのスライドは全52ページ。
重要度に照らして説明の分量を調整したため、駆け足のスライドもありましたが、それでも伝えたい箇所は十分に説明できたと考えています。
質疑応答で気づきを得る
60分間の講演に続くのは、30分間の質疑応答の時間。参加者は、経営の執行サイドや、監査役等の立場の方、KAM早期適用を行った企業の方など多岐にわたります。
立場が変われば、KAMの報告から読み取ることも変わる。そんな質疑応答を通じて、ボクとは違ったKAMの読み方から、新しい気づきが得られました。こうした気付きが得られるのも、双方向でやりとりができるリアルタイムのライブ配信だから。
その中でも注目したいのが、内部監査との関連。確かに、内部監査に言及したKAM早期適用事例はまだ登場していません。また、内部監査の結果の利用として「監査上の対応」に登場するだけではなく、リスクの認識や共有として「KAMの内容及び決定理由」に登場する可能性もあります。
そのため、今後のKAM事例分析では、「内部監査」の有無もチェック項目に加えることにしました。さて、2021年3月期からのKAM強制適用で、そんな事例が登場するのかどうかが楽しみです。
そうそう、今回の講演は、当日参加できなかった方を対象として、期間限定で配信されるようです。メンバーの方は、ぜひ、ご覧ください。
P.S.
メンバーじゃないから講演が視聴できない方は、こちらの本にその一部が収録されていますので、ご利用ください。