いつも、6月になると、ユニコーン企業の状況を定点観測しています。ユニコーン企業とは、時価総額が10億ドル以上の非上場企業のこと。
ブログでは、こんな記事で紹介してきました。
- 2020.06.24 ユニコーン企業に、デカコーン企業
- 2019.06.23 2017年から2019年の、ユニコーン企業の入れ替わり
この定点観測にあたってボクが利用しているのは、CB Insightsのデータ。2021年6月は、驚くような事態になっていました。その結果をシェアしますね。
2021年6月のユニコーン企業
ここで、2021年6月のユニコーン企業について、その数と評価総額についてお伝えします。
まず、ユニコーン企業の数は、704社となりました。前年同期で476社であったため、228社の増加(前年同期比47.9%増)。世界的に新型コロナウイルス感染症が感染拡大している中で、ユニコーン企業は1.5倍ちかくも増えていたのです。
次に、ユニコーン企業の評価総額は、2兆2820億ドル。前年同期が1兆4,050億ドルであっため、8,770億ドルの増加(前年同期比62.4%増)。過去5年間の中で社数も評価総額も最も伸びました。
業種別の状況
業種別のユニコーン企業の評価額では、「フィンテック」「AI」「インターネットソフトウェア&サービス」「Eコマースと消費者への直接販売」の順がトップ4。前年同期でも、3位と4位がひっくり返るだけで、顔ぶれは同じです。
評価額が伸びた業種は、上位から順に「フィンテック」「インターネットソフトウェア&サービス」「AI」。これら3業種だけで、評価額は5,063億ドル増加しています。評価総額の増加額8,771億ドルの57.7%を占めるほど。
前年同期比で最も伸びた業種は、「サイバーセキュリティ」。これは、新型コロナウイルス感染症に関連してリモートワークが世界中で普及したことが影響しているのでしょう。一方、伸びが悪かった業種は、「旅行」で前年同期比33.3%の減少です。これも、コロナ影響といえるでしょう。
とんでもない日本発のユニコーン企業が登場
このようにユニコーン企業の数が増えている中で、日本企業も増えています。前年同期で3社だったところ、5社に増加しました。具体的には、次のとおりです。
- Preferred Networks(プリファードネットワークス。業種はAI)
- SmartNews(スマートニュース。業種はモバイル&テレコミュニケーション)
- Paidy(ペイディ。業種はフィンテック)
- Liquid(リキッド。業種はフィンテック)
- Playco(プレイコー。業種はその他。世界初のインスタントプレイゲーム会社)
中でも、Playcoは注目の的。2020年9月に会社を新しく設立した途端、シリーズAとして100億円規模のシリーズAを発表します。その評価額は1,000億円弱と、いきなりユニコーン企業となったのです。これは期待が持てる日本発のユニコーンですね。
こうなると、各社のビジネスモデルへの関心が高まります。どのような顧客に対して、どのような価値を提供しているのか。それを探るのも楽しみです。
やっぱりビジネスモデル
Fast Company誌からも、例年とは少し送れましたが、「The World’s Most Innovative Companies」の2021年度版が発表されています。世界初のmRNAワクチンを開発したバイオテック企業といった最先端のビジネスモデルはもちろんのこと、高品質で手ごろな価格の住宅を提供する不動産デベロッパーのビジネスモデルといった事例が紹介されています。
すでに紙媒体で入手済み。決算も落ち着いたことから、少し眺めていきたい。なんて考えていたら、ボクが所属している一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会から、第7期の活動報告が届きました。これはもう、ビジネスモデルに目を向ける絶好の機会。
そろそろ、ビジネスモデルを探求するワークショップを開催したいな。ある企業のことを取り扱ったビジネス書を片手に。できれば、リモートではなく、リアル会場で。
少人数で集まって開催しますか。ご興味があれば、お声がけください。