ねえ、知っています? サステナビリティ開示について、金融庁がどう考えているかを。
今日の2023年5月16日という時点では、3月末決算の上場企業の多くが決算短信を公表しています。また、時期的に会社法監査も終わっているため、そろそろ有価証券報告書の作成に本腰を入れ始める企業もあるでしょう。
今年の有価証券報告書の目玉は、何と言っても、サステナビリティ開示の義務化。2023年4月19日に収録したセミナー「【速報版!】2023年3月期の有報サステナビリティ開示の書き方講座」では、金融庁の意向を解説しました。それは、ある会計専門誌に掲載されていた金融庁の担当官の発言から読み取れる内容です。
その後、2023年4月24日になると、中央経済社サンから、『別冊『企業会計』/サステナビリティ情報等の有報開示に対応2023年改正開示府令の実務ガイド』というタイムリーな書籍が発売になりました。もし、セミナー資料を作成している期間に発売されていたなら、間違いなく、ここに収録されている記事を紹介していたことでしょう。
注目すべきは、冒頭の「金融庁企業開示課長に聞く サステナビリティ情報に関する改正開示府令の意義、関係者への期待と今後の展望」という記事。ほら、何事も真意を確かめたいときには、直接、聞いたほうが早いですからね。そこには金融庁の真意が明確にされています。該当箇所を引用すると、次のとおりです。
1月末に開示府令の改正を公表して、3月期の決算から開示してくださいということになるのですが、やっていないことを無理して書いてくださいということではなく、今年は各社の現在の取組みをわかりやすく伝えてください、そこからサステナビリティの法定開示をスタートしましょうという気持ちでお願いさせていただいています。
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この発言を読んで、血の気が引いた企業の担当者もいらっしゃるかもしれません。というのも、“サステナビリティに関する活動は当然に行われているものだ”と考えていることが読み取れるからです。言い換えるなら、“まさか、サステナビリティ活動を行っていない有報提出会社なんていないですよね”という認識です。
確かに、コーポレートガバナンス・コードでもサステナビリティに関する取り組みが求められているため、何かしらの活動は行っているでしょう。しかし、その成熟度は、企業によって異なります。好事例集に取り上げられるほどに成熟した活動を行っている企業もあれば、それほどサステナビリティ活動に力を入れていない企業もあっておかしくはありません。
つまり、今回のサステナビリティ開示によって、企業がこれまでサステナビリティ活動にどう取り組んできたか、又は、取り組んでこなかったが明らかにされるのです。ここまでは、セミナーでもお話ししていました。しかし、中央経済社サンの書籍には、その意向の続きまでが掲載されていたのです。それが、次の箇所です。
P.22
実際に何を課題として特定されているかに応じて記載内容は変わってきます。気候変動を課題として特定されているのであれば、それについて書くということになりますが、取組みがまだ進んでいないとお考えの企業もあると思います。やっていないことは書けませんので、その場合にはそもそも何が記載できるかを検討するところが課題になると思います。
ここから、金融庁さんのほうでも、サステナビリティ活動に取り組んでこなかった企業が存在することを理解していることが読み取れます。また、そのような企業では開示に困るだろうとも想定しているのです。
こうなると、今回のサステナビリティ開示は、もはや踏み絵といっても過言ではないでしょう。その開示に仕方によって、サステナビリティ活動に取り組んできた企業とそうではない企業とが、明確に区分されるのです。しかも、その差は決して小さなものではありません。むしろ、大きく開いた状態で。
だからこそ、制度が始まる2023年3月期のサステナビリティ開示には、慎重に対応する必要があるのです。なにせ踏み絵ですから、テキトーに対応していては、ふるい落とされる側に回るだけ。そこまでの危機感を覚えたほうが良いでしょう。
では、好事例集を参考にすればよいかというと、それも難しい。圧倒されて終わることも十分に想定されます。そもそも、サステナビリティ活動に力を入れていなければ、書くネタすらないからです。
そうは言っても開示はしなければならない。しかも、ふるい落とされない水準にしたい。そこでヒントになるのが、投資家がどのような情報の開示を期待しているか。実は、これを知ることで、書くネタを集めやすくなります。それを解説したのが、セミナー「【速報版!】2023年3月期の有報サステナビリティ開示の書き方講座」です。
開示が必須の「ガバナンス」と「リスク管理」に特化したうえで、それぞれに開示が期待される内容を踏まえた「汎用質問リスト」を提示しています。また、その回答のためのヒントに加えて、質問事項のポイントも説明しているため、自社に固有の情報を拾いやすくなっています。
さらには、セミナーを受講された方のうち希望される方に対して、質問の回答を入力するとサステナビリティ開示の素案が自動的に完成できるツールを提供しています。セミナーの視聴期間が始まると同時に、希望された方々がこのツールを手に入れています。セミナーの内容にご満足されていることが嬉しいです。
おそらく時期的に、これから、ますますダウンロードされていくでしょう。もう、素手で立ち向かう必要はありません。選ばれる側の企業になるためにも、このセミナーとツールをお役立てください。