先日、上場企業に対して税務業務を提供している税理士と話していたときのこと。なんでも、その企業の監査法人が、ネットワークファームの税理士法人を使って税額計算のチェックを行っているようです。なぜ、顧問の税理士がいるのに、監査法人が自身の税理士を使うのかと疑問に感じていました。
そこで、ボクは、「監査法人がネットワークファームの税理士法人を使う局面って、こんな場合だけど、どう?」と3つほど例を示したうえで質問しました。すると、「そう、それ。それに該当している」と即答。「なんだ、そういう理由からか」と納得していました。
実は、こうした疑問は、ボク自身も感じることがあります。それは、繰延税金資産の回収可能性を取り扱ったKAMを読んだとき。そう、監査上の主要な検討事項です。そうしたKAMでは「税務の専門家」を利用している旨が報告される場合があります。しかし、KAMの文面を読む限り、3つの例示、つまりは、ネットワークファームの税理士法人を活用すべき状況にはありません。
すると、なぜ、この「税務の専門家」を使うことをKAMに記載する必要があるのかが理解できない。KAMの利用者が状況を理解できない理由は、明確です。説明が不足しているのです。コミュニケーションが足りないのです。
このような状況は、KAMの利用者だけではない可能性もあります。そう、経営者や監査役等への説明も不足している可能性も考えられます。なぜ、「税務の専門家」を利用すべきなのか、言い換えれば、コストをかけてでも専門家を利用すると判断した根拠を示していない可能性です。
そこで、今日の2023年5月18日、プロネクサスさんの「PRONEXUS SUPPORT」に掲載されたコラムでは、この「税務の専門家」について掘り下げて解説しました。タイトルは、「果たして、KAMに「税務の専門家」は必要か」です。構成は次のとおりです。
■「税務の専門家」とは誰のことか
■「税務の専門家」の利用局面
■定型文の発祥
■読み方の問題
■必要性の問題
当初の予定では、2023年6月に掲載が予定されていました。しかし、今回のコラムの内容に照らして、編集のご担当者から、なるべく早いタイミングで掲載するのが望ましいのではないかとご提案を受けました。そこで、掲載日を前倒しすべく、掲載スケジュールを調整していただいた次第です。このような柔軟さに感謝です。
ということで、これからKAMの協議が本格化する企業もあるでしょう。もし、繰延税金資産の回収可能性がKAMになっている場合には、今回のコラムから協議のポイントが理解できることでしょう。ぜひとも、ご活用ください。
(注)ご覧いただくには、会員登録が必要です。