ISSBによるIFRSサステナビリティ開示基準を的確に理解するためには、何を念頭に置いて設定されたかを知っておくべきです。それは、基準には書き込まれていません。そのため、基準化に至る背景を遡る必要があります。
IFRSサステナビリティ開示基準には、4つの柱から成るコア・コンテンツがメインとなっています。これは、S1基準の「結論の根拠」におけるBC3に記載のとおり、TCFD提言に基づいたものです。つまり、気候変動の対応で念頭に置かれたものが、この基準にも引き継がれているのです。
気候変動の対応で念頭に置かれたものが、一体、何であるかを知るには、基準が確定するまでの座組、すなわち、重要な役割を果たした組織とその活動内容について整理することが必要です。その役割は、次の4つに区分できます。
- プロポーザー(proposer)
- クリエイター(creator)
- トランスフォーマー(transformer)
- インテグレーター(integrator)
このような大局観を持つことで、気候変動の対応に共通して念頭に置かれたものがわかります。そこで、今回の記事では、これらの役割について解説します。なぜ、IFRSサステナビリティ開示基準が財務報告の中に取り込まれたかが腑に落ちるでしょう。