2023年9月8日、日本における企業会計の実務に大きな影響を与えるニュースが公表されました。これによって、日本企業が財務諸表に気候変動の影響を考慮することが避けられないものと予想されます。
そのニュースとは、ASBJのウェブサイトに掲載された、次の国際情報です。
「財務諸表における気候関連事項に関するIFRS会計要求事項に関し利害関係者に注意喚起」
これは、2023年7月4日にIFRS財団が公表した資料を翻訳したものです。原文となる資料は、2020年11月1日付で公表された教育資料を更新したものです。この更新元の教育資料は、2019年11月28日にIFRS財団のウェブサイトに掲載された理事による記事に基づいています。つまり、IFRS財団は2019年11月の時点で、財務諸表に気候変動の影響を考慮する状況があることを注意喚起していたのです。
一方、ASBJは、2023年9月8日に至るまで、このことを紹介していません。ASBJのウェブサイトには、IFRS財団の更新前の教育資料にも、理事の記事にも言及していません。4年近くの間、財務諸表における気候関連事項の取扱いについてサイレントを貫いていたのです。
そこで今回の記事では、気候変動の影響を考慮した会計について、これまでにセミナーや寄稿、単行本などで解説してきた内容も踏まえて解説していきます。また、最近の動向についても紹介していきます。コンパクトにキャッチアップしたいときには、次のサブスクリプションからログインしてください(すべての記事が読み放題です)。